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事業・経営

顧客を切るという決断 事業継続の為には必要なのかも知れない.....

2017年10月20日

目次

顧客を切る

ビジネス(商売)を行っていく上で切っても切れない唯一無二の存在である顧客。

つまりお客様。

お客様が居なければ商売も上がったりで喰っていくことが出来ません。

従業員に給与も払えなければ税金の納付、借入の返済も出来ません。

私もいち事業者ですので、お客様の存在という有り難さは身にしみて感じています。

なのに、何故?このような「顧客を切る」なんて無礼なタイトルを掲げてまで記事を執筆しているのか?。

 

それは、事業を継続して行っていく上では全てのお客様がお客様では無いと思うからです。

 

事業者さんや接客サービスを業としている方からすれば、異論反論いろいろあるとは思いますが、今回のエントリーでは、その点について自分なりの見解を示していきたいと思います。

 

お客様は「神様」ではない

ビジネス(商売)を行っていく上で切っても切れない存在、そして事業者にとってはかけがえの無い存在でもある顧客。

「お客様は神様です」という三波春夫さんの名言もある事からも、全ての人が「自分がお客様は神様である」という誤認識をしているかのように見えます。

しかしながら、三波春夫さんの名台詞である「お客様は神様です」の真意はどうも違うようです。

三波春夫さんのオフシャルサイトによると、三波春夫さんが考える「お客様」とは、三波春夫さんにとっての聴衆やオーディエンスの事を指しているそうです。

我々顧客を持つ事業者や従業員、お客様としての立場からすれば、ついつい飲食店や小売店で買い物をする時にお金を払う側の立場の人間の事を言っているかのように捉えがちですが、三波さんの見解は違うようです。

つまり、ここで言う三波春夫さんの名言である「お客様は神様です」の真意とは、「お金を払うべき立場の人間が一番偉い」という捉え方は間違っていると言う事になります。

 

現代社会で言うところの「クレーマー」は、この言葉を鵜呑みにしていて、飲食店や小売店で食事や買い物をした際、「こっちがカネを払う立場なんだからな!!」という横柄な態度を取る輩が居ますが、これらもこの言葉の誤認識から生まれてきた立場の人間であると言えますね。

 

クレーマーとは?

前章で触れたクレーマーについてちょっと触れてみます。

商売をしている私であっても、やはり店側の態度や対応に疑問を感じた時に言うべきことを言うときはあります。

これをクレーマと呼ぶのか呼ばないか!?というのも紙一重のような気もしますが、クレーマーとそうでは無い人の境界線は何処にあるのでしょうか?。

私自身がサービスを提供している店側に対して物申すときには、「他のお客様にも迷惑が掛かるでしょ!?」と思う時や、お金を払って商品やサービスの提供を受けているのに、横柄で且つ怠慢な対応をされたり、対価に対して納得の行かない商品が手渡されたりといった場合に言うことがあります。

一方のクレーマ体質の方も、店側に対してクレームを物申す時のきっかけは同じでしょう。些細なことから始まるクレームも少なくありません。そもそもクレーマ体質のかたは、重箱の隅を突っつくかのように粗探しをして、些細な事を理由に上げてクレームを言い放つものです。

クレーマーの方はクレームの発端となった事柄に対して慰謝料を請求したり、商品やサービスの割引を要求したり、店側に対して過度の謝罪を求めたりするのが特徴です。しかも、他のお客様が周囲に居ようと居まいとお構いなしです。店側の迷惑よりも、自分を中心に物事を考えて衝動的な行動をする傾向が目立ちます。

予備知識として、「慰謝料よこせ!」など金銭や商品の提供を求められた場合は、詐欺罪として告訴する事が可能ですので、それを立証するために通話や動画などを撮っておくと有効です。

本当に店側の事を考えて行うクレームなのか、自己満足の為に行うクレームなのかでその本質は変わってきます。もしも、そのクレームが前者であるのなら、そのお客様はお店側にとってかけがえのない財産ともなるべき大事な存在です。

 

利益の出る顧客と出ない顧客

本題に入ります。

事業を行っていく上で携わる全てのお客様が、自分たちに利益をもたらしてくれるか?。

答えはYESともいい切れません。

自分自身がそう思わなければこのような文章など最初から書こうともしません。

 

私は接客業に携わって25年になります。

これまでの会社員時代の経験からも全てのお客様を大事にしなければという思いでこれまでの接客業をプライドを持ってやってきました。

しかし、事業者となって最近身にしみて感じる事があります。

 

「全てのお客様が自分たちに利益をもたらしてくれる訳ではない」

 

という事に気がついたのです。

これはクレーマー云々の話ではありません。

対応がよくて謙虚なお客様だけを大事にしなければならないのか?先代からお付き合いのある古い顧客を大事にしなければならないのか? それらの顧客が自分たちして最大限の利益をもたらしてくれていれば言うことはありませんが、実際はそうで無いことが多いのです。

 

私たちは事業を行っていく上で売上を上げて利益を残さなければなりません。

 

古くからの顧客であってもなかなか利益をもたらしてくれるに至らない顧客と、新規の顧客なのに利益率が高い顧客。

会社の財務体質やキャッシュフローに余裕があれば、もしかしたら多少利益が出なくとも古い顧客を大事にするかも知れません。それが先代から引き継いだ顧客であれば尚更です。

しかしこれが、自分の会社や店舗が債務超過状態で倒産寸前という厳しい状態であればどうでしょうか?。

少しでもキャッシュが欲しい、1円でも多く利益を残したいという危機迫った状態であれば、経営者であれば後者を選択しなければならない場面も出てきます。

何故なら会社や店舗の存在価値は、存続してなんぼの世界です。

倒産させる為に会社を興したり事業を始める人が居るでしょうか?。

 

事業を行っていると、時に利益をもたらす顧客か利益をもたらしてくれない顧客の両者を天秤にかけ、どちらかを選択しなければならない場面に遭遇することがあります。

どちらの顧客も囲い込む事が出来れば言う事はありませんし、古くからの顧客が最大限の利益をもたらしてくれればこれに越した事はありませんね。

しかし、限られた経営資源、設備、人員の問題などでどちらかの顧客を選択しなければならない時が必ずあります。

 

自分自身が経営する会社が危機迫った状態であったとき、この記事を読んで下さっている皆様ならどちらを選びますか?。

経営者でなくとも、いち会社員、いち従業員であっても判断基準は一緒だと思います。

 

導き出される答えは一つしかありません。

 

 

ビジネスを継続する上で大事なこと

ズバリ、「利益を出す」ことです。

利益を出し続けなければ、そもそも事業をしている本質を問われてしまいます。

 

「企業」とは利潤の追求である

 

学校でも勉強しましたが、まさに企業は利益を出してなんぼです。

 

確かに、細かいことを言えば企業の存在価値は地域社会に対して雇用の場を創出し、納税をして、社会貢献をする事にあります。

しかし、利益が出ていなければ納税すら出来ません。

新たな雇用の機会も提供出来ません。

社会に貢献したくても会社が存続していかなければ貢献すら出来ません。

 

だから利益を出し続けなければなりません。

その時に顧客をふるいに掛けなければならない時がいずれやってきます。

利益をもたらしてくれない顧客ばかりを囲い込みすぎて倒産した場合、その顧客を恨むのでしょうか?。損害賠償を請求するのでしょうか?。最終的にお客様のせいにするのでしょうか?。

 

違うと思います。

 

全ての経営責任は経営者にあります。

その為の経営者です。

 

何か一つの重要がな選択を迫られる時、リーダーほど孤独な職業はありません。

 

 

私の経験

私も最近、一人の顧客を切るという決断をしました。

だからこそ、このような記事を書いています。

 

新規のお客様で付き合いは半年程度でしたが、商談の結果、そのお客様を囲い込む事で今後2年間の売上高を利益を確保出来るという見通しが経ち、双方にとってもメリットがある契約内容でした。先方からの商談だったのですが、こちらとしても悪い条件では無いと判断し快諾しました。

しかし、結果は......。

その新規のお客様を囲い込む事で殆どの経営資源を費やさなければならなかったので、他の顧客との取引を一時見送らなければならない状態になりました。しかし、その新規顧客は月を追うごとに当初持ちかけられたような条件では無くなり、結果売上不振に陥り銀行の口座残高は目減りしていきます。

 

つまり、結果的に口先だけの商談となってしまったのです。

因みに、契約書は交わしていません。

 

私の経営者としての経験不足と商談の詰めの甘さが招いた結果なのですけれど、このお客様と今後も取引を継続していくのかという問題に直面し、経営者としての選択に迫られたのです。

 

このお客様を切るべきか、継続するべきか?。

 

悩んだ末の結論としては、その顧客を切りました。

背に腹は変えられません。

 

その決断をした直後は一時的にスッキリましましたが、それとは引き換えに売上は激減です。それもそのはず、利益が出ない顧客を抱えていたとはいえ、前月まではその顧客からもそれなりに売上は上がっていたのです。しかし、その顧客を切った影響で、その分の売上はロスとなりました。

結果、数ヶ月間は売上も低迷したまま推移しました。

それからと言うもの、新規顧客の開拓を再開し既存顧客にも声を掛けたりと当初の平均売上に戻すまでに約3ヶ月を要します。

問題の顧客と半年もの間お付き合いしていたのでその年の売上は酷いものでしたが、結果的に残りの数ヶ月間で何とか利益を残す事が出来ました。

 

 

その教訓から得たこと

顧客を切った直後の銀行口座の残高は酷いものでした。

しかも、前年の売上(所得)が高かったので、この年の納税額は異様に高く、納税が大変だったのを覚えています。

いかなる状況であっても銀行への借入返済と納税、従業員への給与の支払いは毎月決まった日に訪れます。

前月の売掛が口座に入ると、すぐさま支払いに消えて無くなります。

こんな日々も数ヶ月続きました。

売上が回復したことで口座の残高も徐々に余裕が出てきて、精神的にも余裕が出てきたときに色々と振り返りました。

 

結果的にその問題の顧客を切って良かったと思っています。

 

どんな事業であっても、一度に引き受けられる案件というのはキャパが決まっています。

その限られたキャパの中で最大の利益を生むための仕組みや施策を考えたり、あらゆる決断を下すのが経営者の役割。

 

業績が悪化したからといって、決して顧客のせいにしてはいけないのだという事を学びました。

 

いざ!という時、利益をもたらしてくれないその顧客が助けてくれるでしょうか?資金援助してくれるでしょうか?足りない分の従業員の給与を立替えて払ってくれるでしょうか?。

結果的にその事業に対する全ての社会的な責任を負うのが経営者の仕事であり、使命でもあります。

 

その使命を全うする為に、切らなければならない顧客の選択に迫られても、それは仕方の無いことです。

 

判断に迷うのも当然かも知れませんが、会社を守れるのは経営者本人だけなのです。

銀行も助けてはくれません。

 

 

お互いが「WIN WIN」の関係であること

冒頭の章でも話た通り、自分の持論は「お客様は神様ではない」という事。

多くのお客さまが勘違いされている非常に危険な現代社会の誤認識を何とかしなければならないと思われます。

世の中の全ての業種が必ず顧客と繋がっています。

その関係は100:0であってはいけません。

50:50の WIN WIN の関係でなければならないというのが私の持論です。

誤解して欲しくないのですが、自分が接客を業としているからと言って自分たちの立場を擁護している訳ではありません。

 

お客様だから偉い!?

カネを払い立場だから偉い!?

 

違います。

 

顧客側からすれば、自分が欲しいと思う商品やサービスを企業や店舗が提供してくれているから、初めてその商品やサービスに対して対価を払って自分の要求を満たす訳です。

もしも、その商品やサービスがまだ世の中に浸透していないものであるとしたら、その企業が提供したことに対して感謝する筈です。

「こんな商品が欲しかった!」とか、「いい時代になったもんだ!」なんて、感動すら覚えるでしょう。

しかし、その商品やサービスに対して競合他社が現れ、似たようなサービスや商品を提供するまでには、それほど長い時間が掛からないのが現代社会です。

 

それが商品であったとしたら、量産体勢に入る事で価格もこなれてきて、私達は安価でその商品を購入することが出来るようにもなります。

 

ここで顧客側の立場からすれば、「メーカーと商品を選択する」という作業が発生しますが、ここで勘違いが生じてしまいます。

 

「選んでやった!  数ある店舗の中からこの店舗に決めた!」

 

だから.....

 

「お客様は神様だ!!」

 

という誤認識に繋がるのかも知れません。

 

商品やサービスを提供してくれる企業や店があって、初めて私達は対価を払ってその商品やサービスを購入する事が出来ます。

だからその関係性は Win=Win でなければならないと感じます。

 

その対価に対して納得が行かない時は企業側に意見を申してもいいと思います。

それで納得が行かなければ、次回からその企業やメーカー、店舗を利用しなければいいのですから。

 

 

 

まとめ

今回は「顧客を切る」というテーマで記事を書いてみました。

今振り返っても、「顧客を切る」というのはあまり響きのいい言葉ではありません。

記事中にも書きましたが、安定的に利益を出して自らが立ち上げた事業を継続させる事が経営者の最大の使命であり、その社会的責任の大きさの度合いから比べたら、一人の顧客を失うことなどそれほど大きなものでは無いものと考えます。

「切る」という決断を迫られた時の苦しみは本当に切ないものですが、経営という長い歴史の中の一人の顧客という観点で考えれば、それほど大きなものではありません。

「一人ひとりの顧客を大切に」などという言葉も鵜呑みにしてしまいがちですが、あなたのビジネスにとって本当に必要であり利益をもたらしてくれるお客さまを大切にされたほうが、お互いの為にもなるというものです。

 

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