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事業・経営

「領収書の金額を多めに書いてちょうだい」は犯罪行為 やってはいけない事務

2017年12月9日

目次

「領収書の金額多めに書いてちょうだいよ!」

っていう変なお客様、あなたの周りには居ませんか?。

 

こんにちは、管理人のshigeponです。

 

このようなお客様が来店する店舗さんはきっと多いことと思います。

事業を営んでいるものの視点からも、今回の記事ではこの問題について充分に噛み砕いて説明させて頂きます。

 

 

領収書とは?

 

まず、領収書について理解を深めましょう。

 

領収書について

領収書とは、代金の受取人(店側)が支払い者(お客様)に対して、何らかの対価として金銭を受け取ったことを証明するために発行する書類のこと。

英語ではレシート(receipt)というが、日本では手書きのものを領収書、レジなど機械印字されたものをそれぞれ区別して呼ぶ場合もある。

 

※一部ウィキペディアより抜粋

 

改めて説明の必要は無いかも知れませんが、念のため載せておきます。

 

領収書は課税文書の一つです。

顧客から受け取ったお金と同等の金額を領収書(またはレシート)として発行し、過払いなどの発生を防ぐ役割があります。

領収書の発行については、民法第486条でも定められていて 「弁済をしたもの(顧客)は、弁済を受領したもの(店側)に対して受領証書の交付を請求することができる」 とされています。

しかし、必ず発行する義務があるかというと、民法上では「必ず発行しなければならない」という解釈では無さそうですが、上記の第486条の通りで領収書を請求されれば特に拒む事も無く発行するのが日本ではもはや常識的となっています。

 

 

収入印紙は5万円以上から貼り付ける義務が発生

普段から領収書を発行する事の多いレジ担当やサービスカウンター、経理担当者(または経営者)であれば、もはや常識といえる印紙の金額。

因みに、5万円以上100万円以内までの金額の受領に対して「200円の収入印紙を貼り割り印をする」事が税法上義務化されています。

2014年3月までは3万円以上から200円の収入印紙を貼り付けなければなりませんでしたが、2014年4月の税制改正により5万円以上へと変更になっています。

因みに、該当の金額を受領して領収書を発行した際に収入印紙を貼り忘れた場合は、本来納付すべき印紙税の支払い義務を怠ったとして、本来の印紙税の2倍(場合によってはそれ以上)の過怠税を税務署に収めなければならない事となります。

当然、飲食店や小売店などではパート・アルバイトがこれらの業務をこなす場合もありますので、従業員が印紙の貼り忘れをしてしまう事もありますので従業員の教育訓練は慎重に行う必要があります。

 

また、収入印紙を貼ったにも関わらず、消印(割印)を押し忘れた場合にも、同じように過怠税の対象となります。

「押し忘れました.....」 「知りませんでした」 で済まされないのが税法です。

 

 

本題:領収書の金額の虚偽の記載について

それでは本題に入ります。

 

シチュエーション

もしもお客様から

 

男性1
領収書の金額を多めに書いて貰えないかな?

 

と言われた場合、あなたならどうしますか?。

 

近くに店長などの責任者が居ればいいですが、もしも居なかった場合は自分自身で判断しなければなりません。

 

結論として、 これは絶対にやってはいけない  行為です。

 

では何故、お客様はこのような 「多めに書いて!」 などという申し出をするのでしょうか?。

 

例えば、会社から 5,000円までの飲食費 を認められている会社員がどこぞの飲食店を訪れて 1000円のランチ を食べたとします。

 

会計の際のシチュエーションを表現してみますと.....

 

ありがとうございます。
1.000円のお召し上がりでございます。
あっ、領収書をお願いします。
男性1
悪いんだけど、金額を5.000円って書いてもらえないかな?
男性1
えっ!? 5.000円ですか?

 

こんな感じです。

 

頭のいい方であればもうお分かりですね。

自分は1.000円しか出していないが、これに対して5.000円の領収書を貰ったとします。

会社に帰てからこの5.000円の領収書を経理担当者に出せは、その顧客は5.000円を立替金の振替として現金5.000円を経理から受領しますね。

つまり、4.000円の利益が発生することになりますね。

 

これは極端な例かも知れませんが、なきにしもあらず.....むしろこのような光景は日常茶飯事かと。

相手は「悪いんだけど」と言っていますので、悪いことだという認識があって増額で記載した領収書の発行を求めています。

もはや故意犯ですね。

ことの重大さを知らずに自己の利益のためだけにやっている方が殆ど.....。

だから平気でレジなどでこのような会話を発しているのかも知れません。

(私も過去、度々このようなお客様の接客を経験しています)。

 

もう一度言います、これは悪いことです。

下記に何故悪い事なのかを説明します。

 

 

お客様側は「詐欺罪」または「私文書偽造罪」が問われる

 

刑法第17章 文書偽造の罪 159条 私文書偽造の罪 という項目があります。

 

行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図面を偽造し、または偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図面を偽造した者は、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する。

 

※刑法より抜粋

 

若しくは若しくは......って、くどいですね......刑法。

 

つまり、今回のケースで言えば、領収書は 「事実証明に関する文書」 に該当しますので、これを虚偽の金額を記載することにおいて、上記の刑法にて罰せられるという事になります。

お客様の「悪いんだけど......」という表現は 「悪い事」 と分かっていながら領収書の増額記載を申し出ていますので立派な犯罪になる訳です。

 

 

店側(発行した側)も私文書偽造罪、または幇助罪の罪に問われる

一方の店側は、「神様であるお客様からの申し出」という事で、つい仰せの通りにやってしまいがちですが、何が何でもお客様の言う通りにしなければならないか?というと、決してそうではありません。

むしろ、「お客様に言われたから......」では済まされない事なのです。

 

店側も私文書偽造罪、または幇助罪の罪に問われます。

 

幇助罪(ほうじょざい)とは、刑法第62条1項において、実行行為以外の行為で正犯(ここでは顧客側)の実行行為を容易にする行為一般を指す。

幇助罪とは従犯の一つである。従犯とは、実行犯の犯罪を手助けした本人として、その罪に問われることになる。

 

つまり、何も知らずにお客様の言われるがままに領収書の増額を容認し、それを発行してしまえば、発行した側も顧客の犯罪を手助けしたものとして罪に問われる事になるのです。

 

だから、絶対にやっては行けません。

 

 

何故犯罪行為だとバレる!?

これは税務調査で発覚することが多いと言われています。

不正をした顧客の会社、または領収書を発行した側の店舗(会社)に税務調査が入った場合でも、レジの売上と発行した領収書の金額の整合性が取れなければ、税務署からその領収書を発行した取引についての聴取をされる場合があります。

しかし、多くのレジ作業をパート・アルバイトなどに任せきりのコンビニや飲食店、小売店などでいちいち領収書を発行したシチュエーションなどを従業員が覚えているでしょうか?しかも、税務調査が入るのは数年先かも知れません。それまでに従業員の入退社もあるでしょうから、領収書を発行した本人が店舗に在籍していない可能性もあります。

最近のレジはボタンひとつで該当の売上の領収書を自動で発行してくれる機能があるものも多いので、領収書を発行した履歴も残りますし金額を故意に改ざんすることが出来ないようになっています。

ジャーナルという記録紙も残りますので、不正をしていてもいずれ調べれば簡単に不正を見抜く事が出来るようになっています。

ただ、機械的なトラブルに見舞われれば、急遽手書きで領収書を発行することもあるでしょうから、店舗によっては領収書の店舗控えの裏側に該当取引きのレシートを貼るなどの対策を講じると良いと思います。

領収書を渡せばレシートを渡す必要はありませんが、これは税法で定められているものではなくて、社員の不正を防止する意味でそう指導されている大手企業が多いです。

事実、このような不正を防ぐために、実際の売上と手書き領収書の金額の整合性を取るには、発行したレシートが必要になります。もちろん、先述の通りジャーナルも残りますが、取引の履歴を巻紙のジャーナルから検索するとなると、かなり大変です。

 

このように、些細な事にも思えますが、実際に不正が発覚すれば、領収書を受け取った顧客の会社にも税務調査と共に警察の捜査が入る可能性があります。

税務署の税務調査をナメてはいけません。

過去何年でも遡って帳簿を隅から隅まで調べますので、決して不正は出来ない仕組みが出来上がっているのです。

 

悪いことをしていれば、いずれ天罰が下るのです。

 

 

この事実を知らない経営者や店舗管理職

今国内にある小売業や飲食店、いわゆるサービス業に従事している店舗責任者や経営者の方で、この事実を知っている人はどのくらいいるのでしょうか?。

この事実を調べようと検索でこのページを開いたあなたは、きっと責任感が強くて正義感に溢れている方であると察します。

 

実は私も過去アルバイト時代の経験においてこのような場面に遭遇した事があります。

 

その際は店長に相談しに行ったところ、その後は店長が対応してくれました。

店長はとても責任感が強く、世の中の事を熟知しているかのようなカリスマ的で且つ、信頼できる店長でした。

その際、店長からは

 

「絶対に支払った金額以上の領収書を発行してはダメだぞ!」

 

と教えられていたので、その後の私が携わってきたサービス業においてはその経験がとても役に立ちました。

 

しかし、その事実を知らない世の中の店長が

 

「お客様の言うとおりにしろ!」

 

なんて、あなたを責め立てるようでしたら、そのお店は早々辞めるべきです。

最悪の場合、あらぬ濡れ衣を着せられてあなたを犯罪者に仕立てられてしまうかも知れません。

 

これは犯罪行為ですので、覚えておいて下さい。

 

 

そのような場面に遭遇したらどうする?

もしもあなたが店舗責任者でないのであれば、黙って店舗責任者や経営者に後の処理(接客)を任せるのが無難です。

もしも社員や責任者が不在の場合は、潔く 「自分の決済は出来ないので金額通りの領収書しか発行出来ない」 との旨をはっきりとお客様に示す必要があります。

それでもしつこいようだったら、

 

後日責任者が店に居る時にレシートをお持ち下さい

 

という対応でも良いかもしれません。

 

しかしながら、もしこの記事を読んでいるあなたが店舗責任者や経営者であれば、取るべき行動は既に承知のことと思います。

犯罪に足を踏み入れてはいけないし、大事な従業員にそのような事をさせてもいけません。

 

クレーマー気質な顧客からしつこくせまられるようでしたら、上記のような「刑法に触れる」という事をしっかりと口頭で示せば引き下がってくれるかと思います。

それでもしつこければ、「刑法第249条 恐喝罪(きょうかつざい)」 で警察に相談される事をおすすめします。

 

 

 

今回の記事を書こうと思ったきっかけ

今回どうしてこんな記事を書こうと思ったのか?。

実は最近、私も事業でお世話になっているお得意様からこのような依頼をされたのです。

 

小さい会社ではありましたが、このような事をするような会社だとは思ってもいなかっただけにショックも大きかったのです。

その内容は、実際には年間で60,000円程度の取引きだったにも関わらず、当方に400,000円の領収書を切って欲しいとの無謀とも言えるメールでの依頼から始まりました。

 

すかさずその会社に電話して「出来ない旨」を伝えました。

 

事務員さんに話を聞くと、

 

別の取引先で発生した(支払った)金額をうちが払った事にして領収書を切って欲しい
との事でした。

 

どうやら、何らかの帳尻合わせで私を利用しようとしていたようです。

おっと、危なくわたくし、幇助罪.....または私文書偽造.....。

まさかそんな不正をする会社だとは思っても居なかったのですが、その事実を知った瞬間今後の取引をどうしようか?とちょっと真剣に悩みました。

勿論、キッパリとお断りしましたよ。

 

私は、

 

当方の税理士がとても厳しい方なので、現状そのような依頼はお受け出来ないんです
管理人

 

とお断りしました。

 

税理士さんや金融機関の名前を出すのは、やんわりお断りしたい時などには有効かも知れませんね。

 

まさか超お得意様に対して

 

「それ、犯罪です!!」

 

なんて言えないですもんね......笑。

いや、笑い事ではなぃなぃ.....。

 

 

 

金額は必ず書きましょう

お客様からの依頼で領収書を書くことが多いと思われますが、補足として更なる注意点も書いておきます。

 

「日付は未記入で.....」

出張の際に経理部から仮払いで現金を預かる事もおおいビジネスマン。

これは、出張によりかさむ経費によってビジネスマン本人の懐の負担を軽くするためのもの。

給料日前で財布に1万円しか入っていないのに、急に東京から大阪出張を命ぜられても新幹線のチケットすら買えません。

そんな時に仮払いという経理処理が発生します。

 

話が逸れましたが、領収書の日付。

これは相手先の経理上の問題で、経理からそのように依頼されている可能性があります。

仮に日付未記入は特に違法性はありません。

好ましい事ではありませんが、お客様側の経理の〆の問題等々会社によって諸事情は様々です。

 

万が一、その会社に税務調査が入れは事が大きくなるかも知れませんが、問題はその日付無しの領収書自体が本来不正であると判断された場合にクローズアップされるだけ、つまり領収書の金額自体に問題が発生した場合です。

 

日付なし領収書は特に問題なくお出ししても大丈夫でしょう。

ただ、こちら側の控えには発行した日付と日付を記載しなかった理由などを裏にメモしておくといいでしょう。

 

 

宛名無しの領収書は大丈夫!?

昭和の頃から平成にかけては領収書の宛名は「上様」で書くことも多かったです。

 

しかし「上様」って.......お代官様か?.......。

一休さんか? って、年代がばれてしまう。

 

基本的に宛名なしでも大丈夫ですけれど、本来であれば完全コンプリートな領収書を発行したいもの。

但し、お客さまが急いでいる場合などはこのような事を頼まれる事もザラです。

また、領収書の納め先(カネの出所)が第3者の会社だった場合など、実際の宛名が変わる事もあるのです。

 

例えば、下請けさんが元請けさんに領収書を提出する場合など。

お金を出すのはあくまでも元請けさんですが、下請さんが元請けさんの会社の正式名称(前株?後株?など)を覚えていない場合、このような依頼も非常に多いと思います。

 

昭和に流行った「上様」は、最近の税務調査では「信憑性がない」として、領収書としても効力を認めてもらえない場合が大きなってきたそうですので、最近の会社では「上様」での領収書の受理を認めないところが非常に増えてきています。これは顧問税理士さんからの指導に寄るものであると推測します。

よって、宛名なし領収書も大きな問題にはなりません。

 

 

金額欄空白は?

 

これは  絶対に駄目  です。

 

ここまで読んでくださった方なら、もうお分かりですね。

私文書偽造と幇助罪が摘要されてしまいます。

取引した金額を証明するための領収書なのにその取引金額の記載が無いと、「多めに書いてちょうだい」 を黙認している、つまり、相手に 「好きなだけの金額を書いていいよ!」と言っているもの。

金額は絶対に書きましょう。

 

 

 

まとめ

今回は領収書の不正発行について触れてみました。

 

実際、今回の記事を書くにあたり、普段あまり調べる事もない刑法や税法なども調べまくりました。

自分でもダメとは分かっていながら、「何故ダメなのか?」が分かっていなかったので、自分としても良い勉強になりました。

つまり、「何故、ダメなのか?」が分かっていないと、相手をねじ伏せる事も出来ないしこちらの正当性も主張出来ない事になるわけだ。

 

「犯罪ですよ」

 

と言われてもやり通そうとする人は、言わば犯罪人以外の何者でもありません。

 

この記事が、皆様のお役に立てられれば幸いです。

 

それでは。

 

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