法人印とは?
法人印とは、会社を起業する際に法務局に登記をする際に登録するために使う印鑑です。
個人で言うところの実印に当たります。
個人の場合は市役所や区役所に実印登録をすることで印鑑証明を発行してもらえるようになります。
一方の法人では、会社を作るときに法務局に定款の提出と同時に会社の存在を証明するために登記という作業をしますが、この時に会社の代表印を届出なければなりません。
その代表印についてですが、実に様々なお店で売られています。
いや、売られているというか、実際には自分の会社の屋号が入った専用の印鑑を作って貰わなければなわない訳だ。
今回のエントリーでは、その法人印を作る際に迷う開運印鑑について焦点を当てて掘り下げてみたいと思います。
法人印の種類
法人印は下記の通り、大きく3種類に分けられます。
代表印
会社の代表印に当たります。
個人で言うところの実印です。
様々な契約の場面で使用する事になりますので、まさに会社の命です。
万が一、紛失なぞしてしまったら大変な事になりますので、厳重な管理が必要になります。
後に触れますが、銀行印と代表印を代表印一つで賄う方も多いようです。
と言うのも、法人印鑑一つ作るにも、10,000~30,000円程度はしますので、代表印と銀行印を二つ作ると30,000~50,000も掛かってしまいます。
なので、代表印一つで銀行印を兼務する会社が多いのだそうです。
しかし、銀行に行く際に代表印を一緒に持ち出す事になりますので、セキュリティー面を考えると個人的にはあまりおすすめできません。
自ら何かしらの大きな契約の場に出向く際は仕方ありませんが、代表印は基本的には自分の会社の中で使用するものであり、迂闊に持ち歩くべきものでは無いのです。
個人的見解としては、予算に余裕があるのでしたら代表印と銀行印はそれぞれ別々に造ったほうがいいと思われます。
銀行印
銀行印はその名の通り銀行の通帳を作る時に使う印鑑。この辺りは個人と全く一緒です。
普段はあまり持ち歩く事も無いものですので、金庫などに保管しておく事が多いでしょう。
前項でも述べた通り、会社の代表印と銀行員を同じもので代用しようとすると、本来持ち合わせなくてもいい場面で代表印+銀行員を持ち歩く回数が多くなってしまいますので、この辺りはよく考えて印鑑を作りたいものです。
通帳と銀行員の保管場所も同じ場所に保管しないなどの注意も合わせて必要です。
余談ですが、銀行やゆうちょで会社の通帳を作る場合は、銀行員と合わせて定款、更には登記簿の提出が一般的です。つまり、法務局に会社の登記が済んでいないうちは会社の通帳は作れないので注意が必要です。
角印
角印は請求書や見積書、領収書などの会社名(個人事業の場合は屋号)の末尾などに押印する角ばった印鑑の事を言います(上の写真の通り)。
角印を会社の代表印と勘違いされる方も多いようですが、角印はただの認印に過ぎません。
その用途は、先に述べた通り請求書や領収書への押印以外で使用される事はありません。
最近の経理事務では、PCなどから請求書や領収書を発行する事が多いので、自社の角印をイメージでスキャンし、請求書などの雛形に貼り付けてテンプレート化して使用する会社が多くなっていますので、角印単体で押印する事もあまりなくなりました。つまり、経理のPC化に伴い使用される場面は少なくなりました。
しかしながら、各印が請求書や領収書に押印されていないと、請求書自体の効力も激減してしまいます。
個人事業の場合は、作らない事業所も多いようですが、法人の場合は必須です。
逆に法人なのに角印を作っていない会社は品位を疑われても仕方ありません。
見積書や請求書に角印が押されていないものが届いた場合、あなたが経理担当者だったらどう感じるか?。
法人の場合は、代表印と合わせて必ず作ります。
但し、見積書や領収書を発行する事のない業態の場合は、無理して作成する必要はありません。
また、個人事業の場合、角印を作るか作らないか?で悩まれる方も多いと思います。
その際は請求書や領収書を発行する頻度に応じて作るか作らないかを判断されると良いと思います。
よろしければ、下記エントリーを参考にして下さい。
法人印のお値段はピンきり
会社の屋号が違えば当然個々に存在する会社の印鑑もそれぞれ。一つ一つがオーダーメイドになります。
その印鑑も現在では、街のハンコ屋さんやネットショップなどでも作る事が出来ますが、お値段もピンきり。
実際には印鑑に対してどのくらいの予算が必要かを算出しておく必要があります。
巷のネットショップでの平均単価は1個あたり大体¥10,000~\20,000程度のようです。
この場合、代表印と銀行員、角印の3個セットでオーダーすると¥40,000~\50,000が相場のようです。
開業印鑑3本セットで上記のセットを¥30,000円代で購入できるショップも最近では多くなりました。
高いものでは¥100.000を超えるものもありますが、値段の基本ともなるべきものはその印鑑の素材を何で造るか?に起因します。
ごく一般的なのもで価格もリーズナブルなものはプラスチック製のもの。
その他、チタンやメノウ、天然木の本垢を使用したものや象牙まで。
予算に見合った印鑑を造るには、その素材を何にするかによって選ぶと良いと思います。
開運印鑑とは?
開運印鑑とは、その名の通りで開運印鑑を作って起業すると開運が訪れると言われるもの。
ちょっと怪しい気もしますけどね。
では、何を持って開運と呼ばれるのか?
その辺の調べた事をまとめたいと思います。
実際に開運印鑑というもの自体は存在しないのだとか。
これは、どこぞの印鑑屋さんが 「開運印鑑」 という名の商品を作ってプレミアム性を出し、通常の印鑑の相場の1.5~4倍近い金額で売っているに他なりません。
ネット大手の印鑑屋さんで作れば、代表印、銀行印、角印の起業3点セットなるものを作っても3~5万円です。
これが起業に必要とされる印鑑セットの相場と思って頂いても良いでしょう。
何故、そこまで言い切れるか?
私は、個人事業の起業のときも、つい先日法人印をとある印鑑屋さんに注文しました。過去2回に渡り、個人・法人合わせて開業印を作っています。
だから相場もとことん調べました。
その時に「開運印鑑」なるものの存在?というか商品を知りました。
開運印鑑を作って起業すると、事業がより良い方向に向かうだとか、お金が入って来るだとか、倒産しない.....などの文言がそのショップのウェブサイトには乗っていました(ショップ名は敢えて伏せます)。
だったら、開運印鑑で法事印鑑を作れば絶対に倒産しないのか?と言うと、そんな事は無いでしょうね....さすがに。
今のご時世、銀行や証券会社も潰れる時代です。
ましてや、開業印鑑を作ったからとて、起業後採算が取れていないのに無理な設備投資をしたり、金融機関に追加融資を取り付けて無謀な経営をしたからとて、絶対に倒産しない保障などどこにもありません。
普通に冷静に考えれば分かる事です。
経営は経営者のセンスです。
倒産するかしないかは、経営者がその先の経済や市場のニーズをどれだけ把握して会社の方向性を導き出すかによって大きく異なってきます。
印鑑一つで、これらの問題が全て解決されるとは到底思えないのは私だけでしょうか?。
もしも今、あなたが、藁をもすがる想いで高額の開運印鑑に手を出そうと思っているのなら、一度冷静に考えたほうが良いです。
実は私も作りました.....
と強気の事を行っておきながら、自分も先日「開運印鑑」なるものを作りました......笑。
現在の個人事業から法人化するために準備していたのですが、税金面の問題をクリア出来ずに法人化は断念しました。
法人化を目指すに当たっては、法務局に登記をするための法人印が必要になるので、まずはそのためのショップ選びから入ります。
数あるショップの中から印鑑やさんを絞り込むというのは、本当に骨が折れる作業です。
普通、ネットで商品を検索して注文する場合って、価格コムでその商品の売れ筋やレビューを参考にしつつ、楽天かAmazon、もしくは価格コムからリンクを辿って該当の最安ショップにたどり着くというのが定石とも言えると想います(自分だけかな?)。楽天やAmazonを覗けば、更に詳しいレビューも参考になります。
しかし、法人印ともなれば、その名の通りその法人そのもののオーダーメードはんこですから、そんなレビューなど参考になりません。
そうなれば、自分の力でショップを探し出しでそのショップに委ねるかどうかの判断を自身で仰がなければなりません。
しかし、無知なあまり、印鑑の相場も分からずに高額な印鑑、例えば¥150.000-を超えるような印鑑を購入などしてしまったら.....。
実際にその印鑑の原価を知った時に騙されたと思うか、開業印だからそれ相応と思うかは、それぞれの捉えかたによって違います。
私の場合、本垢の天然木を使った印鑑を¥70.000で購入しました。
職人さんの手掘りという事でしたが、それはその印鑑をみれば一目瞭然。
顧問税理士さんに
「¥70.000-で作りました~!」
って言ったところ、
「高いですね.....」
という言葉が返って来たので、やはり相場よりは高めだったのかも知れません。
しかし、職人さんの手掘り プラス 本垢の天然木を使用 との事でしたので、この金額は妥当ではないかと判断しての購入でした。
一般の大手ハンコネットショップでは、プラスチック製で機械彫りで約5万円です。
だったら手彫りと本垢で7万円ならば適当な金額では無いかと私自身が判断したのです。
開運印鑑の値段は何で決まるの!?
印鑑の値段の開き具合にビックリされた方も多いのでは?と思います。
私も今回法人印を作成するにあたり、色々なWeb上の印鑑やさんを覗いてみました。
値段の差はショップそれぞれの価格設定に左右されるという事は言うまでも無いのですが、その価格の基準になるのは 素材 です。
ショップの価格差を覗いて考えてみます。印鑑を何で造るかによって、その価格には大きな差が生じてしまうのです。
それではその素材と、素材の性質についてみてみましょう。
プラスチック
一番リーズナブルで出回っている印鑑の素材、プラスチック。
可もなく不可もなくと言ったところでしょうか?。
開運印鑑としては基本的にはあまり使用されていないようです。
というのも、開運印鑑自体が金取商法だと私は思っているので、そんな悪徳商法をしている印鑑やさんが、一番安い素材で高い値段とを付けてショップで売るというのは考えがたいものです。
大手ネットショップなどで、開業3本セットなどとしてセット販売しているのもよく見かけますが、一番安心して購入出来る印鑑素材では無いでしょうか?
水牛
水牛の角が素材となります。
お値段もそれなりにします。
本来、生きている動物の死骸から採取される素材であるが故に、ネット上では開運印鑑としては相応しくないという意見が大多数を占めます。
その死骸から採取されたものには、その動物の魂が宿ると言われています。
そんな素材が開運を呼ぶのでしょうか?
そして水牛で印鑑を作れば一生ものというのも間違いのようです。
万がいち落として当たりどころが悪ければ、当然ながら欠けてしまいます。
「一生もの」などというキャッチフレーズで、高額(3本で10万円以上とか)な価格で売っているショップには気をつけましょう。
象牙
これも水牛同様、動物の死骸から採取した素材であるという点は変わりません。
開運印鑑には不向きと言えます。
象牙はバブル期に会社を立ち上げた社長様方が成功者の証としてこぞって作った象牙印鑑。
まさに羽振りの良さが伺えます。
象牙は1989年に絶滅の恐れがある野生動物種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)によって、現在では狩猟自体が禁止されていますが、一部の諸国では政治の腐敗などから密漁や密輸を監視出来ずに非合法ルートで密輸されているケースもあります。
現代では、その代用品としてマンモスの化石を使用したり、また、人工品としてセルロイドやハイドロキシアパタイトなどが使われるようになりました。
水晶
パワーストーンとしても有名な水晶。
占い師さん御用達の素材でもあります。
が、しかし、水晶にパワーが宿るのは身につけている時だけだと言われています(←これもどうなのか、いまいち信憑性はありませんが.....)。
お値段もそれなりに高額になりがちです。
パワーストーだという事を良いことに水晶を素材として印鑑を売るショップはあまり信用しないほが良いでしょう。(←と、ネットで叩かれてました......)。
身につけた時に効力が発するというのが本当であれば、印鑑の素材として使ったとしても、開運の兆しすら無いのも頷けます。
メノウ
もともとは宝石素材として使用される事の多かったメノウ。
石英、玉髄が、火成岩または堆積岩の空洞中に層状に沈殿してできた、鉱物の変種によって生成されたもので、主な産地は、メキシコ、アルゼンチン、ドイツ、オーストラリアなど。
彫刻品やジュエリー、数珠に使われる事もある高価な素材と言えます。
鉱物の一種ですが、これを印鑑の素材として使うとなるとどうなのでしょうか?。
鉱物系の素材は、もともと冷たいものです。
開運印鑑の素材には向かないものとされています。
ただ、これも言葉の綾かも知れませんが、開運印鑑には向かないけれども、普通の印鑑として使う分には、水晶や象牙ともに宜しいのでは無いでしょうか?高いですけど......。
チタン
チタンは原子番号22の元素で、地球を構成する近くの成分として9番目に多い元素です。
もともとが鉱物ですから言わば冷たいもの。冷たい場所から採取された鉱物の一種に過ぎません。
自然のものと言えば自然のものですが、そのものが魂を持っては居ないものの、
チタンは様々な加工工程を経て人工的に作り上げる素材です。つまり、あらゆる人の手も加わっていてこれを「死材」として見ている印鑑やさんもあります。
風水的にも印鑑の材料としては不向きな傾向もあるそうで、これをどこかの印鑑屋さんが高級印材として売り出したために、「チタン印鑑で開業すれば金廻りが良くなる」などというデマが今日では当たり前のようになりました。
私も最初はチタンで作ろうと思っていましたが、様々な印鑑やさんのウェブサイトを見ると、「チタン印鑑は悪運を呼び起こす災いのもと」と表現しているのがとても気になりました。
もともとチタンは高級な部類に入る金属ですので、印鑑の材料として使っても高価になりがちです。
ここまでして高い印材で印鑑を作っても、事業が100%成功する保障などどこにもありません。
天然木
国産の本垢天然木を使用した印鑑。
大自然によって育まれた天然木には、精霊の魂が宿るとも言われています。
古来から日本は家屋建築においても天然木を使用したり、神社・仏閣などの神聖な場所の建築材料には木を使ってきた民族です。
そう思えば、天然の木で作られた印鑑には運気がみなぎると考えても不思議ではありませんよね。
そう思って、私は天然木で印鑑を作りました。
もっと噛み砕いて言うと、一番安心出来て長持ちしそうだから。
ただ、そのもの(産地や素材)によっては、天然木だけに価格もそれなりです。
でも、チタンや水晶などよりも、一番日本人らしい素材であると素人的に考えるのは私だけでしょうか?。
開運印鑑は存在しない!?
「開運印鑑」という「言葉」、そして「印鑑」双方が所詮人間がでっち上げたものです。
しかも神聖なものでも決してありません。
だって、その辺のハンコ屋さんが作ってるんですからね.....。
「この開運印鑑で起業すれはきっと成功しますよ!」
と言われつつも、実際にそれで事業が失敗したら、倒産のリスクを印鑑やさんが面倒見てくれると思いますか??。
いや、もしも.....ですよ、
「倒産のリスクを100%保障します」
なんていう印鑑やさんがあったならば、その印鑑屋さんはきっと 本物!? でしょうね.....笑。
印鑑やさんだって商売ですから、印鑑を売ってなんぼです。
その辺は市場の原理原則を鑑みて冷静に判断しましょう。
とか偉そうな事を言ってますが、私も開運印鑑を作りましたから。
私が作った法人印は、今でもデスクの中で静かに眠ってます(お値段8万円ナリ)......笑。(←笑い事じゃなぃ.....泣)。
結局選ぶのは自分次第
自分も作っている訳ですから、開運印鑑を否定はしません。
結局、選ぶのは自分次第だと思います。
チタンで作ろうが、象牙でつくろうが、開運でない印鑑を作ろうが個人の自由。
もちろん、どこの印鑑やさんやショップで作ろうが自由な訳です。
正解などありませんし、事業が始まって見ないと成功するかどうかなんて分かりません。
だから、印鑑と印鑑やさん、素材を選ぶときのポイントは、自分自身が印鑑に何を求めるかのによって決まってきます。
予算を重視して素材を選ぶのか、ショップの評判をもとにしてショップを決めるのか、開運印鑑でつくるのか普通の印鑑を作るのか。
「開運印鑑なんでこの世には無い」と思っていながら開運印鑑を作る人も居ますから。
ただ、私の場合、藁をもすがりたい一心で開運印鑑でつくりました。印鑑を作る時の心境はやはり、これから始まる事業を成功さえたいという想いは経営者なら誰だって一緒なはず。
それをどう捉えようが、どう人から見られようが、それもその人本人が決めたこと。だれも責められはしません。勿論、その印鑑を売ったショップにも責任はありません。
全ては経営者であるあなた次第なのです。
あなたが何を信じるか?、印鑑に何を求めるか?によって判断してみて下さいね。
まとめ
とまぁ、好き勝手なことばかり書かせて頂きました。
この記事は、私が他のウェブサイトで調べたこと、自分自身が印鑑に対して思うことを書いてみました。
無責任な言い方かも知れませんが、その点で言えば記事に信憑性はありませんので、その点は注意して下さい。
開運印鑑はなど無いにしても、皆さんご自身がちょっと1~2万円高くても「開運印鑑で作りたい」と思うなら、作ってみて良いでしょうし、事業の成功に印鑑の素材など関係ないと思うのならごく普通のネットショップでプラスチック性の印鑑でも良いと想います。
また、最初はプラスチック素材で安価に作成して、儲かってから高い素材の印鑑にステップアップするという方法もありますが、法人の場合起業後に印鑑を変更するとなると、別途登記費用もまた掛かってしまいますのでご注意を!。
個人事業から法人成りするときに印材をステップアップするのも良いかも知れません。
最後に、様々なネットショップや印鑑やさんのウェブサイトを見て研究される事と想いますが、起業3本セットなどと称して10万円以上もする印鑑は買う必要は無いと思います。
印鑑に10万円も出せるのなら少しでも性能の良いPCを買って業務の効率を上げたほうがマシ。
と、個人的には思います。
しかしがながら、よく考えて、よく吟味して、色々な人の話を聞いて、自分自身で調べた結果に応じて選んだ印鑑であるならば、買った後の後悔も少ないでしょう。
私自身、8万円も出した事に対して勿体無いな.....とは思うものの、失敗した.....とは思ってません。
いずれは起業するつもりなので絶対に必要になるし、印鑑に対しての思い入れもあります。
開運印鑑に、もしも......本当に開運の力があったとしたら......。
あとは自分自身で決めて下さいね。