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接客サービス業の離職率が高い要因とは? 今後の加速化も懸念

2020年4月7日

サービス業の離職が止まらない

サービス業経営者、現場責任者がいま最も直面している経営危機とも捉えられる諸問題、それは求人が来ないということ。

昨今の人手不足に対して求人を採用する企業側としては、とても痛い問題に直面しています。

人手不足が原因で既存社員、パートアルバイトが満足に公休を消化できないという事例が全国的に問題になっています。

クリーンな会社であるのに、このような事が理由で従業員に休みがあげられないと、たちまちブラック企業という烙印を押されてしまうことにもなりかねません。

 

買い手が一転して売り手市場となった日本経済。

かといって、景気が良くなったか?と言えば、それほどの効果が庶民には感じられないのも事実です。

 

そんな人手不足の中でも特に深刻なのが接客サービス業。

接客サービス業と一括りで言っても、小売業から宿泊/観光関連、飲食店などさまざまです。

特に宿泊施設や飲食店の離職率は30%を超えるという危機的状況になっています。

 

どうして接客サービス業に人が集まらなくなったのか?について、焦点を当てて考えてみたいと思います。

 

サービス業の離職の原因

 

サービス業の離職率は、全業種のなかでワースト1位の30%という数字が出ています。

離職率とは、個々の企業における在籍する正社員の数に対し、一定の期間内にどのくらいの社員が退職したかの比率を表す数値を言います。

離職率が高ければ定着率が高いということになり、逆に低ければ定着率が低いという事であり、抜本的な改革が必要になります。

その離職率が高いサービス業従事者はなぜ離職を決意するのか、個人的見解でその原因を探ってみたいと思います。

 

仕事量に対しての対価が低い

これは業界特有の風習と言っても過言ではないでしょう。

とにかく仕事量はハンパなくある割に、対価(給料)が少ないのが最大の特徴であるサービス業。

小売業では品出しやレジ、接客作業、飲食店では仕入れ、仕込み、調理、清掃、ピークタイムのオペレーションなど、とにかく一人あたりの仕事量の多さは業界一です。

それに対しての対価である給与や時給については、業界内のランクでも最低クラスです。

サービス業は仕入れと人件費を抑えないと営業利益が出しづらいシビアな業種でもあります。実店舗を構えての営業が殆どのため、事業に関わる初期投資も高く家賃や水光熱費なども他の業種に対して高い傾向にあります。

そして、客単価の低い業種であればあるほど、従業員は忙しい思いをしながらさービスに重視しているのを裏腹に、売上は思うほど伸びず利益も残らないという現実。給与や時給を上げるもの慎重に成らざるを得ません。

 

休日が少ない

先述しましたが、人手不足により既存社員やパート・アルバイトが休めないという問題も深刻化しています。

求人票の福利厚生で週休二日制と書いているにも関わらず、それが実現出来ない。労働基準法では、基本的に1週間で1休、4週間(1ヶ月で4休)が最低ラインの休日を取得させる事を義務づけているため、無理に週休二日を与えなくても労基法違反にはなりません。しかし、週休二日制に魅力を感じて入社した従業員に至っては労基法ではなくて、あくまでもその事業所の求人票を見て面接を受けているので、明らかな雇用契約違反と叫ばれても事業主は文句が言えません。

しかしながら、悲しいことに人手不足の原因を一番身にしみて感じているのは従業員であることも多く、それを知っているが故に会社に対して強くも言えないも現状。自分の仕事や店舗に対して誇りや愛着を持って従事している休業員であればなおさらです。

事業主としては休ませたいのに休ませられないという、矛盾した経営方針を貫かなければなりません。

 

日祝日、大型連休に休めない

前項に連動しますが、土日・祝日、年末年始、GWに休みを取ることはほぼ不可能です。人々が休んでいる時に働くのがサービス業。人が休んでいる時こそ稼ぎ時なので、休んでいる場合ではありません。

管理人も過去20年間サービス業をしていましたが、年末年始GWなどに休んだことは殆どありません。

社会人に出てからそのような状況が当たり前だという認識で過ごしていると、徐々に洗脳されてしまうものですが、ある時突然我に返ると突然の虚しさに襲われます。

特に自分の友人はカレンダー通りに休んでいるのに自分は休めないという、隣の芝が青く見えてしまうと、途端に自分の仕事に対する選択について振り返るようになります。独身のうちはいいですが、結婚して家族が出来ると家族の事も考えてあげなければなりません。このような事が引き金となると、最終的に離職に繋がります。

 

クレーマー対応

 

些細な事で店員を呼び出して感情をあらわにするクレーマー。

ひとたびクレーマーに襲われた日は最悪で、メンタルが弱い人の多くは、しばらくの間接客恐怖症にも陥ります。

クレーマーにも色々タイプがあって、些細なクレームで金銭(割引きや無料)を要求するもの、単に自分のストレスのはけ口に接客業を選びクレームを言いつけるもの、また自分の支払った対価に対してサービスが不十分出会った場合に納得出来ずにもの申すタイプ。後者については納得出来る部分ではあります。

店側(サービス業側)が悪い場合とそうでない場合の二通りがありますが、この場合店側が悪くないのにクレームを言いつけてくるのは明らかに「ヘビークレーマー」です。

特に接客業は、産業構造のピラミッドでは底辺に位置する最低の職業とまで言われています。その構造を理解している輩は接客業従事者に対してクレームが言いやすい事を分かっているのです。

特にチェーン店の場合、「本部に言いつけるぞ!」というキーワードを出せば、店側の対応が変わるという事を熟知している面倒くさい客が居るのも事実。

クレームが怖くて、または面倒くさくて離職する従業員が多いのも現実に起こっています。

 

体力的な問題

サービス業は基本的に立ち仕事が多く、身体が資本であるが故に体力勝負の仕事であります。

女性であっても納品や品出し、清掃作業など力仕事を強いられる事も多く、体力が続かなくて、もしくは身体を壊して離職する比率も少なくありません。

この場合、事業所側である程度の配慮も必要になって来る部分でもありますが、人手不足の場合そのような個々の諸事情に100%対応出来ない面がどうしても出てきます。

体力的な問題については、本人の適正にもよるものであるので、出来る事なら採用の時点でしっかりとヒアリングして採用・不採用を決めておけば、最終的な離職率は下げられるのでは?と感じます。

 

将来性がない

サービス業の最大の特徴として、将来性がないという側面を併せ持ちます。

産業構造上の底辺という話をしましたが、サービス業は資格を必要としない業種が多く存在する傾向にあるため、言わば「誰にでも出来る仕事」というのが社会の常識となります。

つまり、資格が必要な仕事となると産業構造のピラミッドでは底辺よりも上の構造に位置していくので、「資格が無ければ出来ない仕事」になると、将来性に長けている業種のほうが多い傾向にあります。

サービス業は寝ても覚めても、最初から最後に至るまで「顧客に対してサービスをすること」が仕事となるので、将来性に欠けるという部分は致し方のない事なのかも知れません。

 

しかしながら、人が好きで、接客が好きで、サービス業に勤しんでいるカリスマ的な社員従業員が居るのも事実です。

 

 

まとめ

サービス業こそ優遇されるべき貴重な存在であるが故に、そぼ理想と現実のギャップに従事者たるものはいつも悩まされます。

このようにサービス業界からどんどん優秀な人財が離職してしまうと、この国は一体どうなってしまうのでしょうか?。サービスの精神を重んじる国であるだけに、サービス業自体が衰退していくと国力やGDP自体が低下してくという懸念もありあます。

サービス業に従事する人間が少なくなってサービス業自体が衰退し閉店の危機に追い込まれて行くと、困るのは休日祝日にサービス業を利用する人間です。

クレーマーが世にはびこっている常識は非常識であるという認識を全てのサービス業利用者に心得て欲しいと願うものです。

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