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ABSはどうして曲がれるの?アンチロックブレーキの仕組み

2017年2月10日

はじめに

今回は久々クルマのお話です。

我々の命を守るためのクルマの装備、ブレーキについてお話します。

ABSってご存知ですか?
教習所で習ったポンピングブレーキを機械が自動でやってくれる装備です。

そのABSの仕組みを出来る限り分かりやすく説明します。
仕組みを知っているのといないのでは、やはりドライビングにも差が出ます。

そんな訳で、初心者超必見!ABSについてエントリーしてみたいと思います。

 

 

ブレーキの仕組み

最近のクルマは、一部の軽自動車や兼価版商用車を除き、殆どの乗用車には ABS(アンチロック・ブレーキ・システム:以下ABS)が標準装備される時代となりましたので、急ブレーキでタイヤがロックするという場面を見る事も少なくなりました。

現在の車のフロントブレーキにはディスクブレーキというものが採用されています。ある程度の価格以上の車になると、フロントもリアもディスクブレーキが採用されています。

下の写真に円盤が見えます。これをブレーキローターと言います。
そして、さらにその下の写真。ブレーキキャリパーという装置がついているのですが、このキャリパーの中にブレーキパッドが入っており、ブレーキを踏むことでこの中に仕組まれたピストンが押し出され、ブレーキパッドをキャリパーに押し付けてクルマに制動をかけます。

ブレーキは、クルマの走っているエネルギーをブレーキローターの回転エネルギーに変換し、ブレーキパッドをキャリパーが押し付けることでパッドとキャリパー間に摩擦が生じます。これを利用して摩擦を熱エネルギーに変えてクルマを減速・停止をさせます。

 

 

 

ABS はタイヤがロックした事をセンサーが検知して、タイヤがロックしないように自動的にポンピングブレーキをかけてくれます。本来、急ブレーキなどでブレーキペダルを強く踏むと、タイヤはロックしてしまいますが ABS付き のクルマはタイヤがロックしません。

ABS はタイヤを1秒間に数十回という速さで油圧によりピストンを動かしてディスクブレーキのパッドを押し付けたり離したりという作業を繰り返すことでタイヤがロックする事を防いでくれます。

 

 

ブレーキがロックするとクルマの方向は変えられない?

本来、クルマはフロントタイヤが路面と摩擦を起こす事でグリップし安全に走ることができます。
フロントタイヤが回転していることでハンドルを切った方向に車の向きを変えてくれるのです。しかし、もしも急ブレーキでタイヤがロックしてしまったら......タイヤがロックしている間は当然タイヤは回転することを止めてしまいますので、ロック中は車の方向を変える事はできません。

教習所でポンピングブレーキを習ったと思います。ポンピングブレーキは、「ブレーキペダルを踏んだり離したりしなさい」という教わり方をされたと思います。
これは、ロックしているブレーキ(ペダル)を一旦離す事でタイヤの回転力を回復させ、その間に車の向きを修正するためなのです。滑りやすい雪道などで障害物を発見した時、慌ててブレーキを強く踏むと当然タイヤはロックしてしまいます。減速もしなければならないし障害物も避けなければならない。でも、ブレーキを踏みっぱなしでタイヤがロックしたままでは車は向きを変えられません。しかもブレーキのロック中はタイヤがグリップを失っている状態なので、制動距離は実はもっと伸びてしまいます。タイヤの制動力に使うグリップは、タイヤが回転していて路面との間に抵抗が生じないと発揮されません。

普段車の運転に慣れていない人にパニックに陥っている際「ブレーキを離せ!!」なんて言ったって体が固まってしまっているので、足がペダルから離れないものです。

こんな時にABSがあると、本来であればロックしているはずのブレーキを押し付けたり離したりしてくれる事で、車は制動をかけながらハンドルで方向を変えて緊急回避も出来るのです。

つまり、ABSは未熟な人間の運転能力を補うために開発されたシステムなのです。

余談ですが、ABSは本来クルマの為に開発されたものでは無いって知ってますか?ABSを最初に開発したのは、JRなんだそうです。
時速260km/hで走る新幹線を出来るだけ短距離で安全に止める為に開発されたのだとか。
私、工業高校の機械科の出なんですが、専門教科で機械設計という教科がありました。その専任の先生、教員に就く以前の勤務先がなんとJR東日本!。新幹線を開発している研究室に勤務していたそうで、その先生が話してくれましたので間違いはないと思います。

それが民間の自動車メーカーにフィードバックされたんでしょうね(これは憶測です)。

因みに、ABS付きの車の場合はポンピングしちゃダメですよ!。ブレーキを離さなくても機械が勝手にやってくれますので基本的に強く踏みっぱなしで大丈夫です。逆に離すと制動距離が伸びてしまいます。

 

プロはABSに頼らない

プロのレーシングドライバーはABSに頼りません。

プロドライバーのフルブレーキングは、タイヤがロックするかしないかのぎりぎりのところをドライバーの感性でコントロールするので、基本的には必要のないものなのです。
それ故に、自分の感性でコントロール出来ないABSを嫌います。

ABSは素人にとっては有り難い装備なのですが、1秒~0.1秒のラップタイムを競うレーシングドライバーにとっては、ABSの性能の良し悪しでタイムに影響が出てしまう事を嫌がります。

一般車でもスポーツドライブともなると、ABSの性能が如実に現れてしまいます。
国産車でもGT-RやNSX,FD3Sなど、日本を代表するスポーツカーにも勿論ABSは装備されていますが、スポーツドライブとしての性能はまだまだ世界のメルセデスやBMWに追いついていないと言われます。
でもこれはあくまでもサーキットなどを走らせた場合の話で、一般道を制限速度内で走る分には充分です。

一般車に搭載されるABSはあくまでもタイヤをロックさせないためのもの。スポーツドライブに求められる0.1秒を競うような要求は必要ないものなのです。

 

気をつけたいこと

平成10年式以前のクルマでは、まだまだABS無しのクルマも出回っていました。

当時はABSが無くても当たり前の時代。
いまでこそ自動ブレーキ標準装備のクルマが全メーカーで徐々に増えつつありますが、15年前はABSもこれから普及をしていくという時代でした。
中古車を買う時などには、ABSもが付いているのかどうかをしっかりと確認したほうがよいです。

一番怖いのは、普段自分の乗っているクルマにABSが付いている事に慣れていて、人から借りたクルマを運転したらタイヤがロックした.....後から聞いたら「これ、ABS付いてないよ~」なんて言われることもよくある話です。

気がついたら大惨事とならぬよう、普段と違うクルマに乗る時や古い年式の中古車を購入する際は注意したいものです。

 

 

まとめ

今日はアンチロックブレーキシステムのついて記事にしてみました。

こうしてみると、クルマの装備や知識を知っているととても楽しくないですか?
頭で理解して実践すると、きっとドライビングが変わるはずです。

ちょっと覚えていただけれも、とっさの時にどういう行動をすればいいかを覚えておくだけで事故が回避出来る可能性は上がります。

今はクルマの性能にドライバーが助けられていると思う光景をしばしば目撃することがあります。クルマの運転に慣れていない人であれば尚のことそう思う筈です。

自分のクルマとタイヤの性能、そして自分のドライビングレベルをしっかりと把握して、安全運転でドライブしたものですね。

それでは。



 

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