人は何故、転職を決意するのか?
会社員にとって転職を決断する時というものは、入社の面接よりもパワーが要る事なのかも知れません。
たとえ今の会社が人手不足だと分かっていても、自身が犠牲となり今の会社に義理を尽くす最たる理由があるのかどうか。
自分自身がその明確な答えを持ち合わせていないのだったら、それは転職の時期に来ているのかも知れません。
身を粉にして働いているのに、思ったほどの見返りがない。
自分のやりたい仕事をやらせてくれない。
組織ですから、必ずしも本人の希望や理想が叶うように取り計らってもらえないというのも分からなくはないです。
だからといって、個々が我慢に我慢を重ねてどれだけその会社に貢献したとしても、その個々の努力が報われなかった時はもう潮時なのかも知れません。
転職をする理由
何かの物事を起こす際、その理由付けをすることはとても大切なことです。
もしそれが転職をするという決断に至った際にも同様です。
自身で納得のいく理由付けがされていれば、その後の流れも非常にスムーズに進みます。
人間は一つの会社を退職する際の理由について、一つや2つの理由だけでは辞める理由にならないと私は思います。
何故なら、私自身が過去に職場を去る際のきっかけとなった理由もそうでしたし、職場のトップとして自らが採用した人材が職場を去る際に本人から直接聞いた話が裏付けとして証明されているからです。
例えば、「上司がキライ」や「給料が安い」などの理由は退職の理由というよりは、誰しもが抱いている会社の不満に過ぎません。しかし、このうちの「上司がキライ」という理由がさらに発展して「上司からのセクハラを受けている」、または「上司から理不尽なことを要求されて不快な思いをする」など、上司がキライな理由に拍車が掛かると、いよいよ退職を決意するのだそうです。
「給料が高い」という理由で会社を辞める人はいません。
しかし、「給料が安い」となれば、転職する際の起爆剤となるべき事柄にもなり得ます。
2018年の転職理由ランキング
下記の表は転職求人情報サイト duda(デューダ) に掲載されている2018年の転職理由のランキングです。
順位 | 前年度 | 転職理由 | 割合 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1位 | 1位 | ほかにやりたい仕事がある | 14.9% | -0.7pt |
2位 | 2位 | 会社の将来性が不安 | 10.7% | -0.8pt |
3位 | 3位 | 給与の不満がある | 10.5% | 1.0pt |
4位 | 4位 | 残業が多い/休日が少ない | 8.2% | 0.3pt |
5位 | 5位 | 専門知識・技術を習得したい | 5.1% | -0.5pt |
6位 | 7位 | 幅広い経験・知識を積みたい | 3.8% | 0.0pt |
7位 | 6位 | U・Iターンしたい | 3.8% | -0.3pt |
8位 | 10位 | 土日祝日に休みたい | 3.3% | 0.3pt |
9位 | 8位 | 市場価値を上げたい | 3.3% | 0.0pt |
10位 | 12位 | 会社の評価方法に不満がある | 3.2% | 0.4pt |
1位から5位までの理由は2017年に引き続きというのが意味深です。
1位 他にやりたい仕事がある
1位の「他にやりたい仕事がある」というのは、もはやその会社に就職した時点で理想と現実とのギャップに悩まされ続けていた可能性もあります。もしくは、急な配置換えや異動、単身赴任などで、納得の行かない部署に配属されたり地方に飛ばされるということも想定外で起こった可能性もあります。
やりたくない仕事、やりがいの無い仕事をやり続けるという事というのは非常にパワーの要る作業です。やりたくない仕事をやらされるのと、やりたい仕事を任されるというのはモチベーションも違いますし、仕事の成果も違って当然です。
その他考えられる理由として、その会社で働いているうちに何らかの外的要因を得て仕事に対する価値観の相違や他の仕事に興味を持つという事もあるでしょう。
その外的要因とは、友人知人の職場や仕事の話を聞いたとき、テレビドラマや映画、雑誌・小説などの影響を受ける、取引先や顧客の職場環境や福利厚生を目の当たりにしたりという場面で想像がつきます。
現在の会社に入社した時点では、その会社に希望を膨らませて入社してきたに違いありません。例外もあるでしょう。しかし、そのギャップを知ったとき、もう後には引き返せないと自分を責めるか、もしくは新たな新天地を探そうとするのかはその人次第なのかも知れません。
2位 会社の将来性が不安
将来の不安を抱えずに過ごしている人は、この世に一人として居ないと断言します。
元アメリカ合衆国大統領である ドワイト・アイゼンハワー も次のように話しています。
将来にまったく不安がなくなれば
誰一人として努力しなくなり、人類は絶滅してしまうだろう。
(ドワイト・アイゼンハワー 1890~1969)
会社の生存率は10年後で6%などと言われていますが、全ての会社にこれが当てはまるかは微妙なところです。
現存する会社と言えども、将来性絶対倒産しない会社などあり得ません。
日本が誇る自動車部品のエアバッグを専門に制作するメーカー タカタ が大規模リコールを受けて倒産に追い込まれた事実も記憶に新しいところです。
本来、このタカタは、トヨタ、日産、ホンダなどの日本の主要3台メーカーのエアバッグを制作していた事から、まず倒産することなどあり得ないと言われるほどの超優良企業でした。しかし、エアバッグの異形破裂や、破裂した際の金属片がドライバーに直撃し、全世界で17名が死亡したなどで裁判となり、一気に倒産へと追い込まれました。
このように、いくらトヨタ、日産の下でぶほんを供給する食いっぱぐれのない一流メーカーであっても、少しの部品の不具合から倒産にされ追い込まれるのです。
絶対的に安全な会社などありません。
銀行や証券会社も潰れ、地方自治体の財政破綻さえ起こりうる時代です。
もしも、今の会社に少しでも不安要素があって、別の就職先にはその不安要素が無いと言い切れるのであれば、退職の時期なのかも知れません。
しかしながら、その会社の幸先が危ういかどうかというのは内部事情が分かってから知る事が多いので、実際には転職してみないと分からないというのが実情かも知れません。
3位 給与への不満がある
先述しましたが、給与を貰いすぎて会社を辞めたくなる人は居ません。
人はお金を稼ぐために働いています。
自分の労働の対価に対して明らかに見返りが少ないと、モチベーションも下がり会社員として長く続かないかも知れません。
しかしながら、自分の給与は自分では決められません。決めるのは会社、そして人事考課精度がある会社はその人事考課によって決められます。
人はとかく自分の事を過大評価してしまいがちです。若い頃の私もそうでした。しかし、いい歳になり管理職になって大勢の部下を持つようになってから、部下の悩みを聞くと、やはり口々に給与の話しをします。直属の部下ですから個々の能力や日々の勤務態度、会社への貢献度、利益に貢献する働きをしているか?というのはよく分かります。実際本人は過大評価をしています。
このように、「人は自分では頑張っているからもっと給与をもらっても良いはずだ」という思い込みを一度でも抱いてしまうと、毎月会社から給与が支給される度に会社に対して敵対心を持ってしまいます。
やがて、その人は会社を辞める事でしょう。
これは何も会社側を立てるつもりで言っている訳ではありません。
実はこの私も数年前に会社を辞めています。
理由は一つや2つではありませんでしたが、その中には確かに「給与」への不満があったかも知れません。決定的ではありませんが。
私が会社を止めたそもそもの理由は、会社が約束を守らなかったからです。社長が私との約束を守らなかったために私がその会社を見限って身を引きました。
経営者が約束を破る会社にコンプライアンスなんて感じられません、社会に対しての貢献など出来るはずも無いのです。
会社が従業員との約束を守られないのであれば、その会社は早々に辞めるべきです。
総評
以外に少なかったのが人間関係のトラブルです。
一昔前には上位第3位までの間に必ずと言っていいほど入っていました。最近の傾向としては、自分の周囲で働く人、つまり上司や同僚に対してはあまり気にかけなくなったという事の現れのように思います。
やはり自分の人生であり自分の生活の糧のための職業であり職場であると思うところでもあるので、このランキングの1位~3位まではとても頷ける順位であるとも言えます。
また、「5位・6位の専門知識・技術を習得したい」と「幅広い経験・知識を積みたい」というところ、やはりキャリアアップを目指す方の回答が集中しているのが頷けます。現状の業務では自分のスキルを活かしきれない、また、もっとキャリアアップをして福利厚生の充実した業種・職種に就きたいと願っている回答も理解出来ます。
「仕事のやりがい=生きがい」に通じる部分でもあるので、このように転職に対しての意志が明確であるというのは、とてもいい傾向にあるものであると分析します。
転職前にリサーチは必要です
いざ転職を決めたからとて、後先何も考えずにいきなり会社を辞める人は居ないと思います。
まずは転職のための情報収集からスタートすべきです。
次の仕事が決まらないうちに会社を辞めるべきではありません。生活が出来なくなってしまいます。
このサイトでは、転職をする際にお世話になる転職支援サイトのご案内もしています。
まとめ
転職の理由、または転職のタイミングなどは人それぞれであります。
となりの芝は青く見えて当たり前であり、向上心を常に抱いているというのはとても大事な事でもあります。
現状職場や職種に不満を抱えていて自分の人生をさらに豊かにするという向上心があるのであれば、転職の準備に取り掛かるタイミングなのかも知れません。