第二新卒とは?
第二新卒という言葉をよく耳にします。
第二新卒とは、高校・大学を卒業して新卒にて一旦就職したものが、1年から3年以内のうちに転職を志すのもの事を指します。
年齢で言えば、高卒者は18~21歳、短大・専門卒であれば20~23歳、4大卒であれば22~25歳の年齢の方が該当します。
なぜ第二新卒者のような若者が増えているのか、その時代的な背景も含めて考察してみます。
第二新卒者があふれる理由
第二新卒者があふれる理由について考えてみます。
私も過去に中小企業で人事担当をしていたので、過去に200名以上の面接をやってきました。
第二新卒の採用経験はありませんが、話を聞いたり世間一般を見ていると、おおよその想像は容易に出来ます。
個人的な見解で書いてみます。
理想と現実のギャップ
1年から3年という期間も持たすに辞めてしまった多くの理由については、求人者本人が就職について真剣に考える事が出来ず、とりあえず仕事に就きたいという安易な気持ちで1社目に入るものの、理想と現実のギャップに驚き転職を決意するものも多い。理想は週休二日。残業なしで業務は定時終了。休日出勤なし。求人票には書いていなかった事例が出ると、会社を責め立ててしまう。しかしこれは、会社側の求人票の出し方にも問題はある。新卒者は求人票と会社のウェブサイトからしか会社の情報を収集できないので、偽りの情報は求人業には書くべきではないが、ありのままの実態を求人票に全て書いてしまうと、求職者が集まらないという採用側の悩ましい問題も抱える。
しかし、昨日まで親の保護下で学生であった物が、全ての現実を知った上で社会人となり会社に就職するというのは困難な話しであり、殆どの新卒者が理想と現実のギャップに苦しむのは当たり前の事である。
結局は、理解して耐えられるか、耐えられないか、の違いでしかない。
理不尽な会社の待遇
また、上司や先輩と折り合いがつかない、辞令に納得がいかない、残業休日出勤などの待遇が悪い、給与面での不満などなど、数年前ではありえない些細な理由で退職を希望する若者が後を絶たない。
他の会社に就職した自分の同級生などからの話しで、他社とのギャップの違いを知り転職を決意するものも
企業側の第二新卒者に対してのスタンス
企業側としては新卒者であろうが、中途採用であろうが、第二新卒者であろうが、優秀な人財を確保したいというのは言うまでもありません。
特に第二新卒者を採用する企業側の視点で物事を考えてみたいと思います。
第二新卒に対する企業側としてのプラスイメージ
第二新卒者を採用するメリットを感じている企業については、第二新卒者は既に一社目の就職先において何らかの社内研修を受けているはずであり、社会的な常識、ビジネスマナー、会社員としての考え方などの新人教育が完了しているものであるという認識で採用される事も多い。
大手企業の場合、では、入社式後にオリエンテーションを実施し、その後1ヶ月から3ヶ月の研修をする企業も多い。特に接客サービス業などはこの間に接客の基本である接客用語の教育から、挨拶、電話応対、言葉遣い、のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)、また、企業の歴史から企業理念、社是、経営方針、業務に関わる全て事柄についての座学OFF-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)までを徹底して叩き込む企業もあす。
また、社員50人前後の中小企業などでは、人手不足の影響等で即戦力で現場に投入する事も多く、十分な新人教育を受けさせずに担当者に任せきりというのが現状。担当者も同じ境遇で育っているので、十分な常識などを新人に対して教えられているのかは難しいところと言わざるを得ない。場合によっては、新人を教育出来るスキルを持つトレーナーが不在の企業も少なくない。
第二新卒に対する企業側としてのマイナスイメージ
入社後1年から3年未満で前職を退職してきた若者を採用するメリットは前項の通り、前職場でしっかりとした教育研修を受けてきたという実績があれば、即戦力として採用出来ると考えるのが一般的だが、逆に否定的な考えをもつ企業や人事担当者、経営者も少なくない。
採用時に重視する時のポイントとなるのは、前職を何故辞めたのかという理由。
何故退職の理由を重視するかと言うと、自社もそのような考えや態度で辞められては困るからだ。たとえ、所定の新人教育を受けてきた第二新卒者であったとしても、常識の欠如、メンタルが弱い、根性がない、飽きっぽいなど人間的な弱さが露呈してしまうと、自社の業務の遂行にも支障が出兼ねないと判断するのが一般的でもある。
第二新卒者を徹底して採用する企業もあれば、対比的に徹底して第二新卒者の採用を避ける企業もあり、それぞれの対応に二面性があるのも事実。
一度目の職場で何かあったのか?、本人の資質はどうなのか?、採用側の求人担当者の先見性や手腕が最も試される要素である。
そんな意味では、企業側にとってはむしろ、少ない資料と短時間での面接の中で第二新卒者の本性を見抜かなければならないので、ある意味では新卒採用よりもリスクが高く難しい採用であると言わざるを得ない。
求職者ばかり責められない理由も
ここまでは求職者の資質やスキル的な問題ばかり指摘してきたが、決して求職者のせいにばかりもしてはいられない。
それは、いわゆるブラック企業の存在である。
求人票では週休二日制、残業なし、一日12時間労働休憩なし。給与は180,000~260,000と謳っていながら、実際は手取りは極端に少なく休みも無い、残業代も支給されないいわゆるサービス残業が慢性化しているような企業に就職してしまった新卒者は、混乱の極みに陥ってしまいかねない。ましてや、人生で初めて親元を離れて新たな生活を始めた新卒者であれば、周囲に相談出来る人が居ないのも事実。ブラック企業の熱い洗礼を受けてしまいかねない。
企業側の勝手な事情に振り回されるという特徴を併せ持つブラック企業。
高校卒の新卒者に至っては、ついこないだまでは学生であり親の保護下のもと勉学に勤しんできた子供である。
しかも、アルバイトもしたことがなく一人で社会に出たこともない未成年を預かるという事は、想像以上に神経を使うものだ。
その新卒者を採用の当日からいきなり現場投入。適当な2~3年上の先輩に任せっきりで経営者や中間管理職は放置。このような環境ですくすくと人が育つのであれば、人材育成で悩む必要なんてない。
ゆとり世代であるが故に、ゆとり世代の若者を責め立てる前にゆとり世代を作ってきた自分たちの世代をまずは責めなければならない。
第二新卒から人生を成功に導く
実際のところ、いわゆる第二新卒と呼ばれる求人者の大半は、第二新卒になりたくてなった訳では無い方が大半であると考えます。
新卒で入った時点では、最低限この会社で数年は頑張るとして意気揚々としていたと思います。
でも、実際には入ってみたいと、やってみないと分からないのも職場と仕事というもの。
理想と現実とのギャップにも苦しめられるでしょう。
でも、第二新卒の方の社会人としての人生はまだ始まったばかりです。
次の就職を確かなものにするためには、まず次の就職先についてはとことんリサーチをすること。そして自分の本当にしたい仕事を徹底して自問自答すること。
転職サイトなどを十分に活用して自分が本当にやりたいと思う仕事、自分が活かせると感じる職場に出会うまで、妥協することなくとことん探すことです。
天職という言葉があります。
天職とは、自分の生まれつきの性質に合った職業、自分にマッチした理想の仕事という定義がありますが、実際に天職なんて存在しないと個人的には思うし、あったとしても長い人生のなかで天職に巡り合う人なんてほんの一握りに過ぎないと感じます。
つまり、その職業に就いてみなければ、その職業の本質も見えないし雇用された会社の実態や内部事情も分からない訳なのです。
仮に誤った選択をして転職したい衝動に駆られたとしても、とりあえず3年はその会社に留まってほしいのです。1年や2年では次の職場の面接で絶対に苦労することが目に見えている。頑張って3年頑張れば、次の職場で第二新卒として面接した際に、「3年頑張りましたが、結果が出ませんでした」、とか「3年間で会社側は私の要望に応じる器が無かった」などと自己の正当性を真っ向からアピール出来るはずなのです。
3年頑張った事で3年目に芽が出る事もあるし、会社の組織の改変で社風が変わり会社側の対応が変わる事ももしかしたらあるかも知れない。
「石の上にも3年」ということわざの通り、3年頑張ってみれば冷たい石も暖まってくるし、我慢強く辛抱していれば必ず成功するというたとえもあります。
しかし、真のブラック企業であればそこまで頑張る必要も無いし、早いところ退職するほうが賢明です。
ブラック企業に誠心誠意尽くしても、人生何の徳にもなりません。
自分の身体を壊したり、精神を極限まで追い込まれてしまい精神疾患に陥っては、次の就職に影響が出るのも否めない。
まとめ
第二新卒について書いてみました。
「第二新卒」という言葉自体もはっきりとした定義もなく、企業側にとっても解釈は様々である印象を受けます。
しかしながら、今現在売り手市場となっている採用の現状を踏まえると、新卒の優秀な人財を確保すること企業側にとってはリスクでもあり、規定数の人財を確保しきれないという状況も起こっているらしく、「第二新卒者」を積極的に採用している企業は年々増え続けているとの事です。
そう考えれば、第二新卒者と言われる入社後1年から3年の間が、人生でもっとも就職しやすい転職のチャンスであるという認識もあながち間違いではないのかも知れません。