はじめに
個人事業が扱う人件費のなかには 専従者給与 というものがあります。
とても難しく聞こえる言葉ですが、専門で従事する者 の例えなのでしょうか?。もっと分かりやすくて響きのよい言葉はなかったのか!? と思うのは私だけではないはず......。
専従者給与(せんじゅうしゃきゅうよ)とは、自分が雇った外部の人間であるパート・アルバイトさん以外で、生計を共にする家族が働いた分の給与の事を言います。
つまり、自分(稼業)で個人事業を営んでいる状況において、その事業を親や自分の妻(夫)が手伝ってくれている場合に支払われる給与の総称なのです。なので、個人事業における人件費の括りとしては、パート給与と専従者給与の2つしかありません。
因みに、個人事業主には会計上 "給与"という概念はありませんのであしからず。しかし、個人事業主は給与が貰えないのか?というとそうではありません。ちゃんと給与は貰えますが、青色申告上 給与として帳簿に入力できないだけの話です。
詳しくはこちらの記事を参照して下さい。
事業開始後の届出
個人事業を始めたときに専従者として家族を雇い入れようとする場合、所轄の税務署に届けを出さなければなりません。
自分の生計を一にする家族として 誰に事業を手伝ってもらい毎月給与としていくら払うか を届出ます。
申請用紙は国税庁のHPからダウンロード出来ます。
記入はとても簡単です。
この届出書類を国税庁のHPからダウンロード(PDF)して赤枠内を記入して税務署に届け出るだけです。
1 青色申告専従者給与 の欄に、専従者として登録したい家族の名前、続柄、性別、年齢、勤続年数、仕事の内容、支給日、支給額、その他賞与を支払う予定があれば賞与の欄も書きます。
専従者給与の支給額について
ここで問題となってくるのが支給額です。
事業開始直後はどの程度の売上の見込みがあるか分からない部分もあります。
しかし、ここで記入する額以上の給与は基本的に支払うことが出来ません。基本的にとは、記入した金額以上の給与を支払う事は出来ても経費(人件費)として控除がされなくなってしまいます。
例えば、専従者給与として20万を支払う予定で税務署に届出を出していた場合を考えてみます。
商売が順調に推移し、儲かりすぎたので税金対策で30万支払ったとします。
ところが、税務署への青色申告専従者給与として上限20万として登録していた場合、控除の対象は20万円までとなり、残りの10万円は控除の対象外となってしまいます。
商売が軌道に乗るまではどの程度専従者給与を支払えるかが分かりづらい部分ありますが、大目に書いておいたほうが無難です。
支払うつもりが無くても大目に書くのは自由です。
将来的に増額の予定があるのなら、余計に多少多めに書いておいたほうが、いざ!というときにそれ以上の金額が支払えなくなってしまうと税制面で不利になってしまいます。
賞与も同様です。
賞与支給欄に記入がされていないのに賞与を出してしまっても控除の対象外となってしまうので注意が必要です。
勿論支給額は変更が可能
「でも、実際に30万なんて給与払えるわけが無いし、どう考えても現事実的じゃなぃ........」
最初はそう思うでしょう。
しかし、いざ需要が上がって売上が伸びた時、最初に申請した給与以上の給与を支払いたいという事も出で来るでしょう。
その時は、先に提出した書類と同じ用紙に変更後の給与を記入して税務署に変更届を出せばOKです。
でも、途中から変更届けを出すというもの手間が掛かります。
だったら、最初から多少多めに書いておいたほうが後々楽かと思います。
因みに、提出時の支給額を30万と記入して提出したからと言って、毎月必ず30万を支給しなければならない訳ではありません。
商売によっては、季節指数的に売上の乱高下が発生するのが常です。
売上が高かった月には30万、売上が悪かった月には20万など、その申請額の範囲内であれば変動性の給与でも問題ないです。
これも、個人事業で家族に手伝ってもらっているメリットかと思います。
会社の場合、特に役員報酬ともなれば毎月給与を変動させる事は出来ず、期首に決めた役員報酬は翌期まで変更出来ないのです。
その点、個人事業者はその月にいくら支給しようが自由です。
このメリットを最大限に活かして、節税対策とともに専従者の満足度も維持・向上させたいものですね。
まとめ
今回は専従者給与についてを書いてみました。
私も事業開始直後は、妻の給与を10万程度と見積もって税務署に提出していました。
しかし、急激に売上が伸び、税理士さんからもっと給与として出さなければ事業主の所得となってしまうので所得税が高額になりますよ!とのアドバイスをもらい、急遽増額申請して翌月から妻の給与を上げました。
30万を出すつもりがなくても、後々の事を考えれば多めに書いておいて少なく渡す.....という方法が、その後の手間を考えると一番いいのではないでしょうか?
因みに、あまり現実的ではない金額を書いてしまうと税務署で突っ込まれる事もあるそうです。
掃除や品出しくらいしかしない妻の給与100万とか......あり得ないですけどね.....笑。
まぁ、奥さんに100万の給与を支払えるくらいにまでなれば、間違いなく法人化しなければなりませんね。
それでは。