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個人事業・フリーランスの開業にあたり
個人事業を開業するに至った経緯は様々と察します。
脱サラして個人事業主やフリーランスとして独立した方、家業を親からの世代交代で受け継ぎ晴れて個人事業主となった方、学生から社会に出ると同時に個人事業主またはフリーランスとして起業された方、などなど。
簡単な自己紹介をさせて頂ければ、わたくし管理人は一番最初に記した脱サラして個人事業主というパターンでした。
会社員としてこれまでの人生の生計を立ててきた者にとって、個人事業主として開業するということはとても大変なことです。
それは労働者から経営者になるからです。
今までは多少なりとも会社に不満などがあれば、上司のせい、はたまた社長や役員、管理職のせいにしてきたかも知れませんが、これからは違います。
あなたが事業主です。
これからあなたが行おうとしている全ての事があなた一人の責任において、あなたが意図したとおりに動いていきます。
失敗すれば自分のせいです。
成功すればあなたの手柄であり、報酬もあなた自身が受け取ることが出来ます。
しかし、事業主になるという事は、経営者にとって必要とされる3大義務を果たさなければなりません。
雇用、納税、社会貢献
です。
詳しくはまた別の機会にお話するとしますが、今日はそんななかでも個人事業主やフリーランスが何故帳簿付けをしなければならないのかについてお話したいと思います。
個人事業主とフリーランスの違い
個人事業主とフリーランスは良く同じ部類として扱われますが根本は違います。
企業などの組織に属していないという点では一緒ですが、仕事の内容やスタイルによってそれぞれが明確に区別されます。
個人事業主は、開業時に税務署に開業届けを出して事業を行っている者を指します。
飲食店や小売店など実店舗を経営されている方などが該当します。
決算期は毎年12月と決められており、法人のように自ら好きな月を決算月とすることは出来ません。
前年度の所得を翌年3月までに確定申告する必要があります。
一方でフリーランスは税務署に開業届けは出さずとも生計を立てていく方を指します。
フリーランスは基本的に先述した個人事業主とは違い、実店舗は持たず自宅の一角をオフィスとして使用し、企業や組織には属さず企業などから案件単位で仕事を受注しその対価を報酬をして得るスタイルの職種を指します。
決算は個人事業主と同様12月で例外は認められません。3月までに前年度分の所得を確定申告しなければならないのは個人事業主と一緒です。
帳簿を付けなければならない理由
個人事業主もフリーランスも帳簿付けをしなければなりません。
大企業や中小企業であれば経理や総務という部署があり、企業間で行われる金銭の授受や従業員への給与支払い、企業の資金管理など、お金に係る全てのことにおいて管理する部署が存在します。
しかし、個人事業としてこれから事業を行っていく場合、まずは一人で何でも出来なくてはなりません。
とくに経営者に求められる2大資質は営業と経理す。
個人事業は家族などから協力を得て事業をされる場合も多く、奥様がもともと商業高校の出だったりすると、もしかしたら経理を任せられるかも知れません。
しかし、自分ひとりで事業を興す場合は、自分一人でやらなければなりません。
普通高校の出だから.....とか、工業高校の出だから簿記は分からないとか言っている場合ではありません。
出来ないのであれば勉強してください。
金銭の管理も出来ない人に経営者は出来ません。
企業は利潤の追求であると社会科で習ったと思います。
個人事業主は企業ではありませんが、利潤の追求をするという定義は大企業と一緒です。
なぜなら、利潤を追求しなければ個人事業主は食べて行けないからです。
つまり、儲けを出さないと家族に飯を食わせられませんし、子供の給食費や学費を稼げません。
中にはどんぶり勘定をする個人事業者が多いと聞きます。
私がお世話になっている会計事務所の税理士さんもよく言いますが、とある中堅クラスの会社の社長であっても経理が全く出来ない方もザラに居るといいます。
経理が出来ないと言うことは貸借対照表や損益計算書などの残高試算表を見ても、その数値から会社の内情や財務体質そのものを知ることは出来ません。
つまり、帳簿を付けなければ、今月はいくら売り上げていくら残って、結局いくら儲かったのか?が分からないのです。
今期(1年)を通じていくら儲かったのか?。が分からなければ、来期にどのくらいの納税が必要で、手元にどのくらいの資金が必要になるのか?が分かりません。
個人事業主として開業届を税務署に出しで開業したのなら、まずは青色申告を選択して複式簿記での記入を覚えましょう。
最初は難しいかも知れませんが、簿記は一通りの勘定科目を覚え、仕入れや支払いによる出金、売上や雑収入による入金などの取引ごとに必要な仕訳さえ覚えてしまえば、あとは毎日それを会計ソフトに記入していくだけです。
開業直後は、会計ソフト+顧問税理士は必須です。
税理士さんとのお付き合いについては、また別の機会にお話しますが、事業に慣れないうち(開業2年目くらいまで)はとにかくお金を払ってでも税理士さんと契約するべきです。
私は事業規模が大きく、とくに年末調整や決算などでは一人ではとても処理し切れないので、税理士さんと年単位で顧問契約を結んでいます。
まずは会計ソフトを揃え、入力のしかたを出来れば複式簿記での記入を覚えましょう。
手始めに仕訳入力の本を買うだけでも随分いい勉強になります。
管理人はしばらくの間、パソコンのモニターのとなりにこの本を置いて勉強しました。
すごく分かりやすいです、この手の本でおそらくナンバー1かと。
税理士頼み、税理士頼りは超危険!
なかにはおそらく「帳簿付けは税理士に任せているからいい!」と言われる経営者の方もいますが、私からするとかなり甘いと思います。
そういう社長さんは、事業の財務が悪化して倒産の危機に直面したら、すべてを税理士さんのせいにするのでしょうか?
税理士さんはあくまでもあなたの事業により発生したお金のやり取りを見据えながら、決算期を迎えると帳簿を精査し確定申告の書類を作成するのが仕事です。
なかには経営改善などの提案をしてくれる税理士さんも居ますし、儲けが出ていれば節税のノウハウなどを提供してくれます。
が、あなたの会社を潰さないようにしてくれる存在ではありません。
税理士報酬を払っているかも知れませんが、それはあくまでも事務的処理に掛かった人件費を支払っているに過ぎません。
前項では最初は税理士さんと顧問契約を結んだほうが良いなどと言っておきながら、今度は税理さん任せでは駄目.....と支離滅裂的な言い方をしていますが、私が言いたいのは「税理士さんを上手に使いましょう」という事です。
どうしてもわからない取引の仕訳を知りたい時、個人から法人にするタイミングなどのアドバイスを気軽に求められるのは税理士さんなのです。
専属の税理士さんならあなたの事業内容も財務体質もよく知っていますから、そのような助言もしやすい立場にあります。
でも、最終的に全ての判断をするのは、事業主であるあなたなのです。
これもしっかりと自らが立ち上げた事業による収益と財務を把握していないと判断出来ません。
帳簿は毎日付けるべき?
では帳簿を付けるタイミングはいつでしょうか?。
答えは毎日です。
何故毎日付けるのか?。
その答えはまとめて付けるべきものではないからです。
私の親も個人事業主でしたが、親は1ヶ月分まとめて帳簿につけていたようです。
しかしながら、もしも現金過不足が起こり1ヶ月前のことまで記憶にあるのかが疑問です。
金庫にあるはずの1万円が無かったとき、その記憶を1ヶ月前に遡って思いだせるのなら良いかも知れませんが、私から言わせればそれを思い出している間の時間でさえも勿体ないと思うのですが.....。
事業内容にもよりますが、毎日帳簿付けをしていると、それほど入力に掛かる時間も必要ありません。
しかも、毎日同じような入力作業を繰り返していれば、複式簿記なんてすぐに覚えます。
複式簿記の仕訳も全てを覚える必要はありません。
大体、長期前払費用とか有形固定資産とか、これらの勘定科目は毎日はおろか月次でもそうそう使う科目ではありません。
仕入れた、支払った、売掛金が入金された、従業員に給与を支払った、税金を収めた、せいぜいこのくらいです。
これらを複式簿記で振替伝票で記入する方法さえ覚えれば個人事業の帳簿付けはとても簡単です。
小学生でも覚えられます。
覚えれば簡単です。
まとめ
今日は個人事業主が帳簿を付けなければならない理由について書きました。
帳簿が掛けるようになれば、自分が会計ソフトに入力した数値をもとに、会計ソフトが自動的に貸借対照表と損益計算書を作ってくれます。
その日々の数値の入力によって試算表の数値が変化していく過程が分かると、商売って面白いということがいずれ分かると思います。
売上の少ない月初は前月の支払いばかりでお金がんどんどん減って行きますが、売上が蓄積していけばいくほど利益が徐々に増えていくと仕事に対してのモチベーションも上がります。
だから毎日帳簿を付ける必要があるのです。
毎日付けなければ日々の数値の変化にも敏感になれないし、大きな買い物や設備投資をする際の判断も出来ません。
経営者が数字に強くなければ事業は成り立ちません。
少しでも早く、自身の事業に対して必要な仕訳のみでも覚えて、毎日帳簿を入力するようにしましょう。
半年もすれば、入力スピードも上がると思いますよ。