個人事業ノウハウ(サイト内リンク集)
このブログでは、個人事業の開業に至るまでの様々なノウハウを紹介しています。
過去に掲載した記事も含めてご参照頂ければと思いサイト内にリンクを張っています。
よろしければ参考にしてください。
サイト内リンク(当サイト内にリンクしています)
■【個人事業】サラリーマンから独立 法人と個人どちらで起業すべき?
■【個人事業】開業に必要なものは...金?計画性?人?それとも.....
■【個人事業】利益を出すための損益計算書の仕組みを理解する!
はじめに
この記事は、これから個人事業を開業する予定のある方、独立を迷っている人向けの記事です。
既に開業されている方にはちょっと物足りない記事になるかも知れません。既に開業している方の9割5部は自分の先輩に当たる方々ばかりと思いますので、「なんだこいつは!」と思われた方はスルーしてください。
自分もそうだったんですが、サラリーマンから脱サラして独立を志す決断をする時は本当に勇気が要ります。
銀行から受けた融資を本当に自分の事業で完済出来るのか?
家族を養っていけるだろうか?
自分の給料は出るのだろうか?
得意先が出来るのだろうか?
市場に変化はあるのだろうか?
廃業したらどうしよう?
などなど、考えたらキリがありません。
ここで問題になるのが、何のために起業するのか?という「志」です。
独立して起業するって、実は本当に大変なことなのです。
その 「志」 が中途半端なものであった場合、何かの困難に直面した時直ぐに挫折してしまうと事業そのものが成り立ちません。事業を起こしたからには、納税の義務、雇用の義務、社会貢献の3大義務が発生します。挫折したから辞めよ~なんて簡単なものではありません。
この辺は起業する前にしっかり自問自答して答えを導き出しておいたほうがよいと思います。
事業に必要と言われる3つの要素
事業には3つの要素が必要不可欠と言われています。
ヒト・モノ・カネ です。
ちょっと下品な表現かも知れませんが、これ、よく言われています。
既に会社を経営している経営者さんやセミナーで講話する起業家の先生だったり、この3つの要素は決まって言うほど有名な話です。
ヒトが居なければ事業の拡大はおろか継続も出来ないし、ものが無ければ商売が出来ません。カネがなければ給料も払えないですし、そもそも事業を始められません。
順番に優先順位を付けるとすると、「カネ」・「モノ」・「ヒト」でしょうか?
事業には必ず人、つまり従業員の介入が欠かせませんので最初に「ヒト」が来そうな感じもしますよね。事業の規模にも寄りますけど最初からヒトを揃えても再三が取れなければ給料を払っていけません。確かにサービス業などで「オープニングスタッフ50名募集」などとチラシを巻いて大々的に人員募集をしなければ開業にこぎつけない大規模事業所もありますが、それは恐らく法人格での営業でしょう。このエントリーは小規模個人事業者向けで書いてますので誤解無きようお願いします。でも根本は同じと思います。
個人事業のメリットは業種にもよりますが、一人でも出来る業種が比較的多いです。私の周りにも一人でやっている個人事業者の先輩方は多数いらっしゃいます。
ヒトを雇えば人件費も発生しますので、一人で賄いきれないくらい忙しくなってから人材の募集に入っても遅くは無いはずです。「それでは遅い!」と現時点で思うのならば募集すれはいいのです。その辺を柔軟に出来るのが個人事業の魅力です。
もうちょっと砕いて言うと、最初は一人でも出来る仕事が個人事業に向いているといえます。法人格に成るのだったら個人事業で数年様子を見てからでも決して遅くはありませんので。
最悪、人が集まらなくても何とか一人で出来るような業種だとベストですが、個人事業者の大半は家族経営が基本です。ご家族の協力を仰いだほうが融通も効きますし、いざという時家族以上に頼りになる存在は居ません。冷たいようですが、雇用主と従業員も所詮他人は他人。困った時は逆にこちらが手を差し伸べて上げなければならないかも知れません。
家族を従業員として雇う、つまり 「青色専従者」 として雇うと、税金面でも色々と有利です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
では早速、肝心の「ヒト・モノ・カネ」の3要素について分析していきます。
ヒト
「ヒト」 はいわゆる人材です。最近では人手不足の影響も相まって、各企業では優良人材の確保に重点を置いている事から 「人財」 という表現をするところも少なくなりました。人財はもはや起業にとっては財産の一部なのですね。逆に、ヒトをヒトとも思わない、従業員・社員を大事にしない会社は辞めたほうがいい.........と言いたいところですが、さすがに言葉が汚すぎますね。「慎重に今後を検討したほうがいい」という言葉に変えますね。
人を大事にしない会社や組織に将来は無いです。何故なら人がその組織に貢献してこそ企業は利潤を得て組織を大きくして行けるからです。ただ「いいからつべこべ言わずに働け!」って言われるのと、「君の力が必要だ!頼む!苦しいだろうけど頑張ってくれ!」って言われるのと、どっちがモチベーションが上がるかという話しです。前者は明らかにブラック企業でしょうね......笑。ブラック企業からは直ぐに抜け出しましょう!あなたの貴重な未来が、人生が企業に吸い尽くされて無くなってしまいます。
「顧客満足度:Customer Satisfaction」(以下ES) と 「従業員満足度:Employee Satisfaction」(以下CS) という言葉があります。
従業員が満足していないのに顧客に対して最善の接客などできる筈がありません。
これ(CS) が出来ていない企業に限って、上司からESを上げろ!上げろ!と言われます。ESが充実していないのにCSを上げろ!なんて虫が良すぎると思いませんか?
従業員満足度については色々あると思いますが、一番は 「その会社に不満が無いこと」 だと思います。「不満が一切無い会社」なんて聞いた事ありませんが、従業員の不満は少ないに越したことはないです。って簡単に言いましたが、ESの概念の真相は給与面であったり年間休日取得・週休二日制などの福利厚生の部分が最も大きいでしょう。または、別の角度から見ると 「働きやすさ」 という概念もあると思います。となると、職場の人間関係もありますし細かいところでは職場への通勤のしやすさや立地なども多少なりとも影響はあるでしょう。
その会社がどれだけ働く人の事を考えているか?がESには極めて重要だと思います。
ただ、会社側擁護する訳ではないのですが、補足として言わせて頂くとすれば、ESも度が過ぎれば従業員ありき過ぎでは会社は収益の確保が困難になり破綻してしまう恐れもあります。
なんでこんな事が言えるのか?と言うと、自分もサラリーマン時代に努めた会社でずっとESに悩まされてきました。小さい会社でしたが、とてもESに満足できるような会社では無かったのです。しかし、文句も言ってばかりは居られませんでしたので、しっかりと実績も作りました。そして、部下のESの向上に向けて社長に何度も申し立てもしました。時には喧嘩もしました。そんな経験からもESって大事だなと思えるようになりました。
起業家として、これから独立するのであれば、従業員ありきで全ての物事を考えると、きっと成功すると思います。これは、従業員におべんちゃらを使え!というのでは無いですからね!。ここまで文章を読んだ上で
CSの話しは、話すと10,000文字では済まされなくなりますので、また別の機会にでも。
モノ
「モノ」は、社屋であったり営業車両であったりPC、プリンターなどのハードな部分。次の章の「カネ」でも触れますが、結局はこの 「モノ」 もお金がなければ建てられないし借りられないし買えないのです。モノとカネについては相乗的な面々もあります。
ただ、ここで言うところの「モノ」とは、開業時に必要なもの として捉えてください。「カネがなければモノが買えない」と言う意見は、ある意味理屈っぽくも聞こえます。
例えば、カネがあったとしても、注文するべき時に注文して納品までをしてもらわないと開業に間に合わない と言う捉え方です。
飲食店などではお客様が使うテーブルや椅子、厨房機器、什器の他に食材の仕入れなどがあります。レジに100万円入っていたとしても肝心の食材がなければ料理が作れないので、お店をオープンする事が出来ません。そんな考えかたです。
つまり、カネがあってもモノが揃っていなければ 事業は成立しない のです。
カネ
冒頭で、ヒト、モノ、カネ に優先順位をつけるのなら と言う事を話し、最初の優先順位は 「カネ」と言いました。
手元に開業に必要な資金がないのであれば、金融機関からの融資を受けなければなりません。つまり、銀行から事業用のお金を借りる事です。大概は銀行が窓口になり「保証協会」などからお金を借りるケースが最も多いと思います。
銀行から事業資金を借りると言うことは実は容易なことではありません。審査もかなり厳しいです。そして、「事業計画書」の提出を求められます。
上にもリンクを貼っていますが、事業計画書については こちら で丁寧に説明してます。
住宅ローンやマイカーローンなどの個人向け商品と違い、事業用資金の融資となると支店長レベルでの決済も必要になるといいます。当然、会社員の場合、前年度の源泉徴収票の提出を求められます。現在の年収や預貯金がどれくらいあるのかもヒアリングされます。
事業計画書にてああなたのこれからやろうとしている事業の収益性、事業の概要、経営者となるあなた自身の考え方などを銀行側が精査します。精査と聞くと舛添元都知事を思い出しますね.......笑。
この融資さえ取り付ける事ができれば、事業は50%前進したとみなしても良いと思います。
そのくらい融資の審査を通すまでは眠れぬ日々が続きます。
しっかりとした事業計画書を作成して、銀行の融資を獲得したいですね。
計画性
別の記事の「史上最強の事業計画書を作る」でも触れていますが、計画なき事業に対して銀行は一銭もお金を出してはくれません。全ては計画段階でどの程度の売上と収益を見込んでいるかを問われます。
でも、この事業計画書は、何も銀行の融資を受けるためだけに作成するものではありません。将来的に事業を成功させるための、個人事業にとっての言わば羅針盤です。どのようにして事業を遂行するのか?、収益の見込みは?、収益が見込めなかった場合どうするのか?、計画段階でしっかり練っておかないと、後々危機が訪れた時にどうしたらいいか右往左往してしまいます。
計画なき事業は、始める前から失敗しています。
段取り8部とはよく言いますが、段取り次第で成功するか失敗するかは8割形決まると言います。これは職人さん、特に建設業だったり飲食業などで日常茶飯事的にそう言われ続けて私も育てられてきました。
実際に経験しているので間違いはないです。
その段取り8割の中ではあらゆる事態のことを想定します想像力が勝負なので、これにはあなたがこれまでの人生で培ってきた経験などを基に計画を練る事が大切です。身近に相談できる人がいるのなら相談するのも良いと思います。
計画段階を甘く見ると、後々大変になるのは自分自身なのです。
でも、本当に大事なものは
「ヒト」、「モノ」、「カネ」と3つの事業に必要なものを伝えてきました。
でも、ヒト、モノ、カネの前に最も大事な事があります。
あなたの志です。
志のない経営者には誰も付いていこうなどとは思わないです。
経営者は志ありきです。
その事業に対しての熱意がなければ、困難に直面した時に克服する事が出来ません。事業を始めればあちこちの業者からの甘い誘惑もあるし保険屋さんにしつこく付きまとわれるなど、想定外の事が頻繁に起こります。これは私もびっくりしました。
例えるなら、商工会議所に入会したと同時にアクサ生命の営業がセットで付いてきました....笑。
調べてももらえばわかりますが、アクサ生命の運営の母体は商工会議所です。まぁ、悪い事ではないんですけど。団体特約で安く色んな保険に入れますから。ここは自己判断で。贔屓にしている保険屋さんがあるのなら、その旨しっかりと伝えた方が良いです(兄弟が保険屋なので!とか.....)。
話が逸れました。
開業する決断をするまでには、様々な困難が待ち受けると思います。
しかし、その困難を一つずつ克服していかなければ事業を始める事が出来ません。しっかりと準備期間を設けて、その間、本当にこの事業に正当性はあるのか?採算は取れるのか?メインで使う予定の金融機関のリストアップや得意先の確保など、あやゆる事をやってください。おそらく休む暇はないと思います。私も脱サラからの開業でしたので、会社の公休日(平日)に銀行や役所、建築メーカーなどを回ったり事業計画書を詰め直したりでしたので、約1年間ゆっくり休んだ記憶がありません。
しかし、あまり根を詰めすぎて倒れてしまっては大変なので、しっかりと適度な休養も取ることも大事です。独立するまでは、会社員であるか、フリーター、(もしくは無職?)であると思います。現在の立場を踏まえて行動することも必要と思います。
開業前の最終確認
個人事業の開業に必要なものと題して説明させて頂きました。
説明下手でしたらすみません。
よく脱サラして飲食店をやりたいとかペンションをやりたいと言う方を目に耳にします。双方の事業も 「調理師」 もしくは 「食品衛生責任者」どちらかの資格と、「防火管理者」 の資格があれば開業は出来ますが、事業主になると、給与のこと、税金のこと、経理、納税=確定申告 など、様々な事務的処理が待っています。税金は経営者になってみないと分からないと思いますが、ホントに税金のために仕事しているようなものです。やり始めてから、あまりの過酷さに 「サラリーマンに戻りたい」 と思っても、銀行から借り入れをして事業を立ち上げていれば、そうそう簡単に事業を畳むわけには行かないと思います。
それだけ、事業というものには責任が伴うのです。
冒頭で 「志を持て」 という話しをさせて頂きましたが、言い換えるとすれば 「プライド」 です。
今まで人に使われていた立場から人を使う立場になるのです。つまり 経営者 になる訳です。経営者になったら、もう逃げ道はありません。
これから、とても厳しい事を書きます。
もしも、この下に書いた記事を読んでみて、少しでも 「無理だ!」と思ったら、残念ながら経営者は諦めてください。そう思った方は経営者に向いていません。
- サービス残業が頻発しても、誰かが愚痴ぐらいなら聞いてくれるかも知れませんが、文句は誰にも言えません。
- 個人事業者、ましてや経営者は 「労働基準法」 の適用外です。休日が無くても法律は個人事業主を守ってくれません。
- 税金の支払いは待ったなし!です。滞納すれば延滞料金が発生しますし、税務署や役所から目を付けられます。
- 決算の時期は事務的処理が山積みです。寝る時間を削ってでもやり遂げて下さい。
- 従業員がお客様からクレームを頂きました。全て事業主であるあなたの責任です。責任を取って下さい。組織のリーダーはあなた以外の何者でもありません。
- 銀行からの借り入れがある場合、毎月の支払期限は絶対に守る。銀行からの評価が下がります。それ以上、おかねを貸してくれなくなります。
- 業種にも寄りますが、日曜日も仕事の可能性があります。家族サービスも出来ないかも知れません。家族の理解が必要です。
- 経営者は「営業」と「経理」は必須科目です。特に経理は複式簿記で帳簿に出来ることが必須です。死ぬ来て覚えて下さい。
- どんなにイヤな事があっても、笑っていること。ご近所や街の人は事業者であるあなたに注目を寄せています。何処で見られているか分かりません。常にエガオで。
- 一人で組織を動かすというのは、孤独との戦いです。一人になる時間も必要です。一日1時間でも一人になる時間を必ず作って下さい。頭の整理が出来てとてもスッキリします。
- 最後に、ここまで読んだあなたなら事業が成り立つかも知れません。何があっても諦めずに頑張ってください。
独立とは.....
厳しい事を書かせて頂きました。
それにはちゃんとした理由があるからです。
会社を辞めて個人事業主になるという事は、会社という守られた城から抜け出して新たな城を築き上げるようなものです。しっかりとした「志」を持たなければ、あなたの城は直ぐに崩れてしまいます。
問題は、その会社を辞める理由です。
- 上司がムカつく
- サービス残業や休日出勤が耐えられない
- 同僚がイヤだ
- 部下に先に昇進されたから会社に居場所がない
- 給料が安い
- 休みが少ない
のような気持ちで起業すると失敗します。志がありません。上に書いたのは、全て「愚痴」です。愚痴だけで独立するのならば、事業者になってから従業員の愚痴を聞く立場になったとき、冷静でいられるでしょうか?。今の会社に居るのが嫌だから起業してみよう!ノウハウは多少なりともあるし、今お付き合いしている顧客も自分のものに出来る......という理由だけでは動機づけが足りません。
独立とは......
「〇〇が嫌だから独立してやる.....」
というものではなく
「どうしても〇〇がやりたい」 「〇〇をするためには独立しないと出来ない」
といった大義名分が必要不可欠です。この〇〇に入るキーワードはあなたがこれから事業としてやろうとしていることです。今いる会社で自分のやりたい事が出来ないのであれば大いに独立すべきです。まぁ、転職という方法もありますが、そもそも転職を考えている人がこんな記事なんか読んでいる筈がありません。リクルルートとかジョブセンス、マイナビなんかを見てますよね、きっと.....笑。
それを実現するためには、会社という組織を抜けて独立するしかない、というのが「志」になるのだと思います。
因みに、稼業の後を継ぐというのも立派な独立だと思います。「後継ぎ」ではなく「独立」と言い切ったほうがかっこよくないですか?
まとめ
このエントリーを読んで、「自分にはちょっと無理かな?」と思った方も居るかも知れませんね。
脅すつもりとかは一切ありません。
自分自身も、「志」とか「大義名分」をしっかりと胸に携えて独立はしたものの、理想と現実のギャップに振り回されて自分を見失いかけました。
現実は甘くないんだな~と。そして自己実現を達成できなかった前の会社を辞める間際には社長ともギクシャクしていたのですが、いざ自分が経営者になってみると「社長業ってこんなに大変なんだな~」と前社長の事をふと思い出します。「こんな思いで我々社員を育ててくれたんだ」と。
私もあと数十年、金融機関から借り入れした融資残高を払いながらの事業が続きます。
明日明日、景気が悪くなり売上が下がるかも知れません。そんなリスクも承知で今の仕事をしています。
私は、経営者大好きですよ!
自分の好きなように事業を進められるし、職場のルールは自分の考えが全てです。何をやろうと勝手なのです。その代わり、何があっても自分で責任を取ります。その気持ちでやってます。
どうか、これから起業家を志す方、個人事業主と法人格を比べると、個人事業主ってちょっと地味というかダサいイメージをもたれるかも知れませんが、事業所の代表です。「社長」とか「代表取締役」は形式的に名乗れませんが、得意先や銀行などの周りからは 「社長!」と呼ばれます。その瞬間、「あっ!自分経営者だったんだな.....」と我に帰る時があります。
だから、個人事業者だからとて気兼ねなく堂々としていればいいのです。
個人事業で少しだけ頑張って結果を出し、2年後に法人にしたって遅くはないのですから。