目次
完全自動運転はもうすぐです
自動運転。
SUBARUの 「ぶつからないクルマ」 自動ブレーキシステムのアイサイトが世に普及し出しでから、早いものでもう10年。
クルマ業界は格段に進歩を遂げました。
クルマ同士の交通事故で最も多いのが渋滞時や信号待ちでの追突事故が約35%なんだそうですけど、その点にいち早く着目したスバルは流石といったところでしょう。
この自動ブレーキも自動車メーカー各社がこぞって開発競争を繰り広げていますが、性能的にはまだまだスバルの足元にも及んでいないようです。
しかしながら、この自動ブレーキ。
開発が進むに連れて、事故件数も減少傾向にあるのも事実。
クルマユーザーとしても嬉しいことですし、何より事故が減ることで尊い命を犠牲にすることが格段に減ったということは、自動車メーカーに敬意を評したいころです。
今日は、そんな自動ブレーキをはじめとした自動運転のお話です。
これまでのクルマのオートメーション化について
冒頭からスバルを褒め讃えていますが、私はスバル関係者でもスバル信者でもありません。むしろ免許を取ってはや25年、ずっ~と日産派です......笑。
しかしながら、スバルの技術には惚れ込んでいます。
遅かれ早かれ、いずれはスバルを乗る日が来るでしょう。
本題に入る前に、一旦自動運転技術が実用化されるまでの過程において、今現在まで普及したクルマのオートメーション化について整理してみます。
自動ブレーキ
自動運転は今や、自動ブレーキに留まらず車線維持や車間距離の維持などにも活用の幅を広げています。
自動ブレーキについては、あくまでもドライバーのとっさの判断や操作の遅れを補うためのものです。言ってみればぼやっとしている迂闊なドライバーに変わって機械がブレーキを掛けてくれるのですから、ぼんやり運転が日常化しているドライバーさんにとっては大助かりの機能と言えます。完璧な人間など一人もいないわけですから、それを考えるといざ!という時の備えとしてはあって然りのシステムと言えます。何事も後悔してからでは遅いのです。
また、自動ブレーキ付きのクルマの運転手の人為的ミスに留まらず、以外なところでも自動ブレーキは活躍の場を見せています。
例えば、視覚外から急な割り込みで入って来たクルマに対して自動ブレーキが作動して衝突の難を逃れた例。また、歩道を走っていた自転車が突然転倒して車道に倒れた時に自動ブレーキが作動するなど。
認知⇨判断⇨操作を繰り返す事で行われる人間の動作の速さには、どうしても限界があります。
この点を補ってくれるという意味では、自動ブレーキは全車標準装備でも良いと思います。
近い将来、きっとそうなるでしょう。
自動車線維持
ドライバーの長距離運転に対する負担を軽減するためのものですが、これも「うっかりミス」や「ぼやっと運転」を回避するためのものでもあります。居眠り運転時の車線逸脱時に他車を巻き込まないという点でも安全面における貢献度は非常に高いものと思います。
特に行楽時の高速道路走行においてはドライバーの疲労軽減に効果が高い事は間違いありません。
ただ、このような便利なシステム、あまり頼りすぎるのも如何なものかとも思います。
自動ブレーキと自動車線維持の二つのシステムを利用する事で、高速道路上においてはドライバーは何もしなくても良いように思います。これではドライバーと呼ぶこと自体、そもそも改めなければならないかも知れません。理由は明確、ドライバーがドライブしている訳ではないからです。
良いか悪いかは別としても、メリットだけで考えれば行楽の帰り道どうしても眠くて眠くて居眠りをしてしまった場合、このシステムがいい方向に動作してくれることは間違いありません。出発時には帰り道での疲労感なんて知る由も無いわけですから。
この二つのシステムがあれば、いざという時に安心であり且つ安全であることだけは確かです。
そして、最近では前方の信号が青になっても発進しない場合、警告音を鳴らしてくれるシステムもあるようですね。
ドライバーの支援目的であればとても優れたシステムですが、ここまでドライバーの運転支援が必要かどうかは、また別の話になりそうです。
車間自動制御システム
自動車間制御については、トヨタや日産がいち早く取り組んだ技術でもありますが、3世代前のC24セレナ、Y50フーガなどに既に10年以上前から搭載されています。
これを現行モデルのC27セレナにも搭載し、車線逸脱警報(LDW)、車線逸脱防止支援システム(DI)と合わせたシステムとして「プロパイロット」というシステムで、世界に先駆けてミニバンに搭載しました。
現状のシステムでは、高速道路などでの単純な渋滞走行と長距離の巡航走行に限定されていますが、いずれは市街地などで自動運転化出来るようにすることが最終目標でしょう。
その他ドライバーを助けるオート機能
自動化に慣れ親しんだ我々としては以外と忘れがちなのですが、最近のクルマには当たり前のように付いている機能があります。
オートエアコン、パワーウインドーなどは数十年前から当たり前の装備ですが、現在ではオートライト、オートワイパー、パワーシート、オートスライドドア、キーレスエントリー、パーキングアシストなど、ドライバーに対する支援装備は本当に充実しました。
考えてもみて下さい。
30年前までクルマの窓はハンドルを回転させて開けていたのが当たり前だったんですから....笑。
自分が商売で使っている軽バンはお恥ずかしながら今だに手動ウインドーです。普段はいいのですがコインパーキングに入るときチケットを取るために窓を開けるときは一苦労。
主婦なんかに見られると、よく笑われてます。
でも、ホントに時代が進化したなぁって思いませんか?。
この進化の過程で生まれたクルマのオートメーション化の中で、クルマが止まっている時にしか使わない支援装備もあります。例えば、スライドドアやキーレスエントリーなど。
自動運転とはまた別の話になってしまいますが、これらの装備だってドライバーをしっかりと支援してくれています。
力を必要とせずボタン一つで操作が出来るのですから、便利な世の中になったと思いますよね。
完全自動運転
完全自動運転化はもうすぐです。
メルセデスは2013年8月に「S500 INTELLIJENT DRIVE リサーチカー」にて自動運転実験を実施し、市販車レベルで応用出来る技術であるという見解を示しています。2013年と言えば今から4年も前のこと。
これに対して国内メーカーも現在はハイブリットやEVの開発と合わせて完全自動運転の実用化に向けてし烈な開発競争を繰り広げています。
完全自動運転が実現すると、もはやドライバーのやることと言えば、聴きたい音楽をチョイスするくらいになりそうですね。
というか、もはやドライバーという表現もされなくなるのでしょう。
完全自動運転化が進めば、自車の車速は法定速度内に維持される訳ですからスピード違反も出来なくなりますし、交通違反で切符を切られる事もなくなります。
その代償として、目的地まで早くたどり着くということもなくなりそうですが.....。(←この時点で速度超過がバレバレになりますね.....)。
このような自動運転化を良しと捉えるか悪しと捉えるかはドライバーそれぞれの技量や性格にも依存されますが、決して悪い事ではないですよね。
何と言っても違反車両が減る訳ですから。
自動運転になることでのメリット
自動運転化が普及するために起こりうるメリットについて考えてみたいと思います。
事故が減る
自動車業界がこれまで自動運転技術を市販車に応用するために繰り広げている開発競争の全ては「事故を減らす」ためにあると考えています。
最終的には全ての市販車の自動運転化が進めば「人為的ミスによる交通事故ゼロ」も不可能な事ではないのかも知れません。
実際に現在の交通事故のほとんどは人為的なミスによるものです。この人為的ミスを未然に防ぐには人に運転させないというのが一番の近道かも知れないのですが、それはさすがに困りますよね。
保険会社の事故統計データによれば、自動車の法令違反の75%が安全運転義務違反なんだそうです。その75%の内訳は、安全不確認が約30%、脇見運転が16%、動静不注視が約11%。
この動静不注視って私も初めて知った言葉なのですが、動静不注視についてを調べました。
動静不注視
相手車両の存在をあらかじめ認識していたものの、それが事故に直結するものではないと誤判断し、相手車両の ”動静” の注視を怠った結果、事故に至るもの。
この動静不注視による事故のシチュエーションを考えてみます。
信号のない交差点手前の優先道路を走行中、交差する小さい路地から交差点に向かう1台のクルマが視界に入った。相手は一時停止をしなければならない ”優先道路ではない” 道路。勿論、相手は一時停止をするものと判断し、躊躇することもなくそのまま信号のない交差点に入ったが、相手も一時停止をせずに交差点に侵入。結果、出会い頭の衝突事故となった。
など。
小さい路地のクルマが一時停止をしていれば起こり得なかった事故ではありますが、優先道路を走っているクルマであっても、減速していつでも停止出来る車速までスピードを落としていたら防げた事故だったかも知れません。
この典型的とも言える事故が動静不注視ですが、自動運転になるとこのような事故もきっと減るのでしょう。
相手が交通違反をしたことで起こり得る事故であっても、それをコンピューターの判断で未然に防ぐことが出来るのだとしたら、これこそ事故ゼロに貢献出来るものだと思います。
渋滞が減る
自動運転技術により、双方のクルマが全てコンピューター制御で動いているとしたら、渋滞も今よりも緩和される事でしょう。
渋滞の原因の一つは一時的に交通量が増える事で発生しますが、運転手が意識しないレベルでの車速の減少や踏まなくても良いブレーキを踏んでしなうために後続車にも要らぬブレーキを掛けさせる事で発生する減速の衝撃波によって起こる渋滞も行楽時には多く発生するのが現状です。
これらは全てドライバーの技量の少なさが起因するものですので、技量の少ないドライバーが直接ハンドルを握らない事で渋滞も緩和されると考えます。
分かりやすく言いますと、”運転な下手な人にはクルマを運転させない” ということです。
ドライバーの技量が必要ない
前項の ”渋滞が減る” と被ってしまいますが、運転技術というものが必要なくなりますね。
全ては自動運転がやってくれます。
運転が苦手という人と運転が下手という人の傾向は非常に似たものがありますが、市街地走行にも長距離走行においてもドライバーの運転技術が必要なくなります。全ては自動運転に任せれば良いのですから、運転が苦手という人でも気軽にクルマでお出かけ出来るようになるのではないでしょうか?。
また、運転が下手な人のクルマに乗ることがトラウマな人だっています。
そんな人が自動運転システムが搭載されたクルマに乗ることで、同乗者に対して要らぬ気苦労を掛けなくて済むようにもなりますし、乗る人本人もきっと安心して目的地までたどり着けるようになるのではないでしょうか?。
疲れない
仕事続きでやっとの休暇.....。
本来であれば昼過ぎまで布団から出たくない。でも、せっかくの休日。道路も行楽地も混むことが分かっていながら、渋滞を避けるために朝早く起きてハンドルを握るお父様たち(私も含めて)。
そんな過酷な環境下でハンドルを握るお父さんは、私を含め世の中には大勢居ます。
行きはよいものの帰りが辛い.....。それを分かっているから行楽地に着いた瞬間「クルマで少し寝させて......」などと言ったものなら奥様と子どもたちからブーイングの嵐なんてことも。
こんなとき完全自動運転があったら帰りは自動運転任せという事も出来ますね。
などなど、色々とメリットを挙げてみました。
確かに色々な恩恵はありそうですね。
でも、色々と考えておかなければならないこともあるもの事実なわけで。
自動運転になることでのデメリット
自動運転のデメリットは?と考えたときにすぐ思いつくのは、自動運転に頼り過ぎたことによる車両感覚や運転感覚の麻痺と考えます。
いざハンドルを握らなければならなくなった時に、本来の感覚で運転出来るのかどうか?。
クルマの運転とは技能です。技能とは、操作や作業を重ねることで正確性や感覚を研ぎ澄ましていくもの。これを機械に任せるわけですから今まで培ってきた運転に対する技能をスポイルしてしまうのでは?という懸念が生じます。
また、自動運転だからとて、子供や無免許の人間が簡単にクルマの操作が出来るようになってしまう事も問題です。普及と同時にセキュリティー面もしっかりと構築していかなければなりません。
現在でも子供を自分の膝に乗せてハンドルを握らせて街中を平然と走らせている動画をUPしているようなお方も居るようですから、尚更怖いです。
また、コンピューターの不具合でコントロールが出来なくなとかって、ちょっと考え過ぎでしょうか?。映画ではよくあるストーリーですが、絶対にそのようなことは起きないという保障はどこにもありません。
自動運転でシェアが縮小される仕事と業種
自動運転化の本来の目的は事故を減らすことです。
ともすると、事故が減る事で打撃を受ける業種もありますね。
カーディーラー
自動運転付きのクルマを売った事で一時的に利益を得ますが、事故でクルマを廃車になることで買い替えを強いられるユーザー層が激減します。
という事は、次のクルマを買ってくれるまでのスパンが長くなる ⇨ クルマが売れなくなる。
新車を売ってなんぼのディーラーですから、今より買い替えサイクルが遅くなることでクルマが売れなくなると、将来的に苦戦を強いられるのでは?。
自動車保険保険
事故が減ることで保険摘要となる案件が減るという事は、保険金を出したくない保険屋にとってはメリットかも知れません。
しかし、事故が減るという事は、保険の掛け金も少なく設定しなければ加入者は増加しません。
事故減 ⇨ 掛金減 ⇨ 収入源 ⇨ 最悪の場合保険の加入者減
という図式も十分考えられます。
世の中の全てのクルマが自動運転になってこの世から事故がゼロになってしまったら、誰も自動車保険なんて入らなくなるでしょう。
でも、実際に事故ゼロにはならないでしょうね。
機械だってミスはしますし、CPUは熱ダレで暴走もします。
レンタカー・レッカー
事故後の代車としても頻繁に利用されるレンタカー。
事故が減ればレンタカーの出動回数も減ります。
一般客からのレンタルよりも事故時の代車としての回転率のほうが遥かに高いレンタカー屋さんもあるのだとか。
事故が減ると回転率も悪くなりますので収益に直結する可能性大です。
板金屋
事故後レッカー屋さんの次にお世話になるのが板金屋さん。
整備工場兼で板金屋さんを営む業種も多いので、板金・整備の入庫数も減少する事は否めません。
今や車庫入れも自動でやってくれる時代となったので、車庫入れ時にブロック塀にバンパーを擦った.....なんて事も将来的には少なくなるのでしょうね。
本当に良いの!? 自動運転
これまでの記事は事実と考えられる将来像についてを抽象的に書いてきましたが、ここからは私の本音を書きます。
自動運転ってほんとに要るの!?
クルマ好きの私から言わせて頂ければ、
「自動運転に頼るくらいならクルマなんかに乗らなければいい! 黙って公共の交通機関で移動しなさい」
という話です。
確かに、世の中にはクルマの運転が苦手という人も大勢いますし、好きでハンドルを握っているわけでもない人も居ます。
だから自動運転に頼る....という考えかたは非常に危険だと思います。
自動運転は事故を減らす為のものであって運転が苦手な人が積極的に頼るべきシステムではないと考えます。
運転が苦手という人は、運転に対して人一倍努力するべきです。
好きこそものの上手なれ
という言葉があります。
自分の好きなことに対してだったら、人一倍努力もするし分からない事があれば寝る間も惜しんで勉強もします。
クルマの運転が苦手という人にクルマの運転が上手になれ!というのは少々酷な話かも知れませんが、安全第一で走らせなければならないクルマの運転にはたくさんの人の尊い命が掛かっています。
その人がクルマの運転を苦手という境遇にあっても、人の命だけは何事にも変えられないのです。
だからこそ自動運転に頼るべきでは?というご意見もそれはあるでしょう。
あるべきシステムは活用するに越したことはない。
それも確かです。
しかし、世の中には少なからずクルマの運転が苦手という自分を嫌って、人一倍努力して運転技術を学ばんとする人だって居るのです。
苦手だから自動運転に頼る?.......
違うと思います。
無理して高い税金とクルマのローンを払い続けることはありません。黙って公共交通機関を使いましょう......。
そのための公共交通機関でもあるのですから。
これは私個人の所感であります。
異論、反論もあるでしょう。
お気に触った方は、ただのクルマ好きの戯言とスルーして下さいませ。
まぁ、この話を真剣に議論するのは、自動運転が完全普及してからの話なんですけどね......。
自動運転化が目指すべき最終目標
自動運転化が目指すべき最終目標は、 「人災による交通事故による死亡者の撲滅」 です。
世の中の交通事故の殆どが人災に寄るものであり、その数は自動車の普及と比例して留まる事を知りません。
事故を起こしてからでは遅いのです。
運転が上手な人でも完璧な人間でも、事故を起こさないという保障は何処にもありません。
私もこんな記事を書いておきながら、数年前人身事故を起こしてしまい、被害者に全治4週間の怪我を負わせてしまいました。
それは、自分は運転が上手だから絶対に人身事故も単独事故も起こさないという過度な自信過剰から来ていたと思っています。
「一度でも事故を起こした人間が、偉そうにこんな記事を書くのか!?」
というご意見やお叱りも受けそうですが、過去に事故を起こした人間だからこそ、このような記事を書かせてもらってます。
人間に絶対は無いんだな....と思い悩み、
過信は禁物なんだな.....と悔い改め、
自分は運転が上手では無いんだな.....と認識したのです。
だからこそ、今では今まで以上に安全運転について真剣に考えるようになりました。
まとめ
自動運転は人間のちょっとした判断の遅れをサポートをするための技術で良いと思います。
完全自動運転を全否定はしませんが、それらが普及することによって誰しも完全自動運転だけにたよるような社会を作ってはいけないと考えます。
人間は少しでも楽を覚えると、それ以上の努力を怠るように退化してしまう生き物です。
白物家電が100%普及した今日、洗濯板で洗濯をしている人なんていませn。
わざわざ火を焚べてかまどでご飯を炊いている人なんていません。
自動運転が当たり前になったら、手動で運転する人がどのくらい居るんでしょうか?。
きっと、私のような変人かよほどのクルマ好きでない限り、そのような事はしないでしょう。
そんな世の中が近い将来現実になると考えると、とても寂しい気持ちになるのは私だけでしょうか!?。
でも、尊い人の命は守らなければなりません。
そのために自動運転が普及するのであれば、どこかで妥協も必要なのでしょう。
今回は、「自動運転が自動運転システムが普及することで考えるべきデメリットとは!?」と題して自分の哲学を語ってみました。
それでは。