スポンサーリンク

事業・経営 個人事業

個人事業から法人成りへの決意

2017年2月28日

目次

はじめに

先週、お世話になっている税理士事務所さんへ決算報告を受けるために地元から100kmほど離れた街へと出向いてきました。

当方は個人事業なので決算月は12月です。年明けからバタバタと申告用の書類の準備に取り掛かり、3月までに確定申告を済ませなければならないので2月が正念場です。とは言え、我々個人事業主は決算期から翌1月までの書類を集めるまでが大変なのであって、今忙しい思いをしているのは会計事務所さんの方なんですけどね。

実は今お世話になっている会計事務所さんは全国組織の会計事務所で、お付き合いは私が事業を始めた3年前からになりますが、今の一度も会計事務所さんに足を運んだことがありませんでした。

なかなか事業が忙しくて、この3年間事業所を出ることすらままならなかったのですが、最近はようやく落ち着いてきて出かける頻度も多くなってきました。

本来であれば、経営者たるものが事業に没頭しっぱなしは良くないと言います。
他の会社さんや組織との繋がり、お付き合いを大切にしつつ人脈形成をしていくのが本来の経営者の姿であって、事業所にこもりっぱなしでは売り上げも上がらないし、そもそも未来がないように思います。

もちろん、人手不足の時には私も出ずに籠りっぱなしにもなりますが、最近では極力出る機会を自ら増やす努力はしています。

 

 

個人から法人へ

個人事業開業から4年目、商売も起動には乗ったものの、お陰様で売り上げは好調です。

しかし、数年後には厳しい状況が待ち構えている厳しい業種でもあります。今から色々と手は打っておかなければならないのですが、その前にまず、組織としての体制も整えなければならないと感じています。

個人事業から法人成りする一つの目安として、年間の所得が800万円を超えてきたあたりを目安に.....と良く言われます。もちろん判断要素はそこだけではありませんが、個人事業の場合、自分の所得を固定給としてコントロールできないというデメリットがあります。売上 ー 経費 = 所得 といういかにもどんぶり勘定的な計算方法、いい加減どうにかならないものか?と思います。

しかし、ここでどうこう言ったとしても、決まっている税法はどうしようもないのです。個人のままで高い所得税を払い続けるか、法人化して経費をコントロールするかの2択に迫られます。究極の選択として商売を辞めるという方法もありますが、まぁここではそれはないです......笑。

税理士さんからは、早い時期に決断をした方が......と言われていましたが、色々と懸案事項もあり躊躇していたのも事実です。

法人化すると要らぬ費用の上乗せも否めません。
商工会議所の会費だったり、銀行の手数料だったり、もう各種手数料が個人事業主と法人とでは決定的に違います。
また、社会保険の準備から定款の作成と法務局への届け出、印鑑や名刺の準備などなど、事務的な手続きも増える訳です。

どうしてそこまでして法人化を検討しなければならないのでしょうか?。

 

 

法人化する理由

個人事業から法人化するには、そもそもの明確な理由が必要です。

明確な理由を持たずして安易に法人化してしまうと、後にもしも行き詰まった時に「個人事業の方がよかった.....」と後悔をするかも知れません。

一般的に法人化する判断基準として下記のような理由があります。

  1. 社会的な信用を得られる
  2. 節税対策
  3. 取引先からの制約を受けない
  4. 優秀な人材を確保しやすい
  5. 代表取締役が名乗れる......

5は、私の願望でもあります......笑。

真面目な話、私個人が法人化をしたいと考える理由は上記の1と2です。
節税のためだけという理由は非常に危険なのです。詳しくは後の章で説明します。

では、下記にその詳細を書いていきます。

 

1、社会的な信用を得られる

法人格になると銀行からの融資も受けやすくなります。個人に融資するのと法人に融資するのだと、お金を貸す側の銀行も安心して融資がしやすくなります。法人成りをしたという事は、それなりに利益だ出ているから節税対策のために法人成りをしたという見方を金融機関側はするのではないか?と個人的には思います。メインバンクからは決算書の提出を求められますから、お付き合いのある銀行さんからはある程度の一定の評価はされてはいるものの、それを踏まえてでも法人化に踏み切ったという実績を評価してもらえます。
また、個人事業の時代に取引のあった対法人とのお付き合いについても、相手からすれば個人と取引するのと法人格と取引をするのとでは、安心感の度合いが違います。個人から法人になった時点で組織的に大きな変革がなかったとしても、取引先が法人であるという事実は、取引先にとっては「個人ではなく法人と取引している」という事実が今後の取引を安定化できるという事実の元に安心して取引が出来ます。

個人事業はどこまで言っても所詮は「個人」。法人格は「会社組織」

たとえそれが家族経営である事に変わりは無かったとしてもです。

取引先とお互いに安心して今後もビジネスを発展させていきたいというのであれば、年間の安定的な利益の確保を前提した「法人成り」は、社会的に見てもその信用度は計り知れないものがあります。

 

2、節税対策

個人事業での収益が上がりすぎると、その殆どが 所得税 と 個人事業税 で持っていかれてしまいます。おまけに国民健康保険や住民税も芋づる式に跳ね上がります。
売上高ー諸経費=収入 というざっくりな勘定により、儲かれば儲かるほど累進課税にやられてしまうのです。もちろん各種控除も適用にはなります。事業主の給与においての法人と個人の決定的な違いは、自分の収入をコントロールできない という点。儲かりすぎると所得として残った分に丸々高額な税金が課せられます。
個人事業で年間の利益が 600万 を超えたあたりから法人化を検討した方が良いと言われていますが、万がいち 1000万 を超えるような売上を誇る事業規模であれば早急な法人化の必要が迫られます。
私はそこまでではないのですが、それでも早い段階で決断しなければならないところまで来ています。

 

3、取引先からの制約を受けない

自分が個人事業であっても取引先に法人格が多い場合、契約時などで障害が出る事も少なくありません。

私も過去に苦い経験があるのですが、法人の取引先と書面で契約を交わす段階で

「あっ!個人事業なんですね......?ヘェ〜〜」。 

と見下すように言われた事がありました。あの時の屈辱は今でも忘れられません。まるで個人事業をバカにしているような言われ方をされたようで.....。
「個人事業であってもこっちは経営者、あなたは所詮会社員でしょ!!」と逆に言いたい。言いたかった。言葉悪いですけど。そのくらい頭に来ました。取引を中止してもいい!とまで思いましたもん。
大手の大企業で法人格に守られながら会社員として仕事をする事自体は否定はしませんが、取引先の相手が個人事業主だった場合、手のひらを返すように今まで低姿勢だった態度も一変。

「売上を拡大して、絶対法人化してやる!」

という思いが沸々と煮えたぎりました。

とは言え、私が法人化したいのは何もその時の屈辱を晴らすためではありません.....笑。
勿論、それをバネししてこれまでやって来たのは確かですが、改めて冷静になって考えてみると相手が法人中心の商売であれば、こちらも法人化しないとこれから先も要らぬトラブルが起こり得る恐れがあります。なかには 個人とは契約しない という徹底した法人企業も存在しますから、その時に個人事業であったが故にチャンスロスで大きな売り上げを逃がすような事だけはしたくないものです。

 

 

4、人材確保と社会保険

個人事業であっても社会保険を適用している事業所としていない事業所が存在します。
従業員が5名以上で加入が義務付けられる業態もありますが、個人事業ともなるとそのほとんどが家族経営で賄っているところが殆どで、社会保険への加入はあまり聞いた事がありません。個人事業の場合の社会保険加入は、あくまでも従業員に対してです。個人事業主は残念ながら社会保険適用外です。

しかし、法人格の場合はこれらの社会保険(厚生年金含む)の加入が義務付けられていますので、従業員を採用する時も社会保険が適用されるかどうかというのは就職先を探す上での有力なツールになります。同じ業種で同じ給与の募集が2社あったとして、一つ目は個人事業、二つ目が法人だった場合、間違いなく法人の会社を選ぶのは求人者にとっては至って普通の選択肢になると思います。

故に個人事業主は福利厚生を充実させない限り、法人と同じ土俵では求人活動が出来ず優秀な人材の確保には翻弄され続ける事になりそうです。

 

 

5、代表取締役を名乗れる

法人格に上がれば、「代表取締役社長 」を名乗る事ができます。
個人事業の場合の肩書きは、「代表」 止まりです。

代表取締役の職種は、「会社役員」
個人事業主の職種は、「自営業」です。

どちらが良いかと言われれば、個人の価値観の問題かも知れませんが、同じ経営者だったら今すぐは無理でもいつかは「代表取締役」を名乗りたいと思われませんか?。

おそらく、この記事を読んでくださっている方の殆どは将来は個人事業から法人化したいと考えている方が殆どだと思うので、こんな表現をさせて頂きました。

引退するまで「個人事業」で通すというのも勿論ありだと思います。

私も最初はそのつもりでしたので。

 

 

 

節税のためだけに法人化するのは危険な考え方かも知れません

節税対策のために法人化を検討する方も少なくありません。

しかし、法人化の目的が節税対策だけであるという場合は注意が必要と思います。

法人化した場合、社会的な役割として「地域社会に貢献する」という大義名分が必要です。もちろん、これは個人事業であっても同じ事が言えますが、法人格ともなれば組織として地域社会の中で仕事をさせて貰えているという事実を元に、何らかの形で「地域社会に還元」するという法人としての責務も全うしていかなければなりません。

節税はあくまでも「自分のため」という理由づけでしかありません。

でも、法人として地域で発展していくには、その事業の基盤となる「地域社会」を無視して事業は大成しないのです。

自分よがりの経営ではなく、「地域社会があってこその自分の会社だ」という考え方を経営者が持っていなければ、その会社はその地域で生き残っていくのは難しいのかもしれません。

例えば、皆さんの近所に「法人格」で看板を掲げていながら「この会社は何をやっている会社?」という会社はありませんか?。「株式会社〇〇」という看板は見かけても、そこの従業員や社長を見た事がない.....という会社も少なくないはずです。地域との繋がりを持たない会社も少なくありません。その最たる理由は、商売の相手が地域社会ではない会社も多く存在します。例えば、得意先が一般の企業ではない特殊な職種の会社だったり、IT係の仕事をメインとしている会社は顧客を市外や県外、関東圏に多く持っている場合も多く、自ずと地域社会と関わりを持たなくても商売をやっていけるのです。

だったら、関東圏に事務所を構えればいいだけの話なのですが、会社の本籍をそこに置くのには会社それぞれに理由があるのでしょう。

でも、地域社会と繋がりを持たない会社は地域の住民からも冷ややかな目で見られがちです。

町内会や街の行事に参加したり、広告費で協賛したり、出来ることは沢山あります。

もしも、将来法人化をして「会社組織」にしたいと考えているのならば、私自身も含めてこのことも少しは頭に入れておきたいなと思います。

 

 

まとめ

サラリーマンの方がもしこの記事を読んで下さっているとすれば、おそらくあまりピンとこないかも知れません。しかし、この記事を見て下さっているとすれば、将来的に独立を志す意思がある方とお見受けします。

個人事業であっても法人であっても自分が経営者となり事業を大きくしていく事には変わりありません。経理と納税がちょっと変わる程度ですが、そのちょっとが将来的には大きな数字となって自分に降りかかってきます。

私は、事業を始める前は個人事業も法人も何も分からぬまま個人事業でスタートしたようなものです。金融機関からは「個人、法人、どちらで起業するおつもりですか?」と聞かれた時、「どっちが良いんですかね?」って聞き返した事があるくらいです。

起業前にしっかり勉強しておくべきだったと反省しています。

その時があっての今の自分なのですが、個人事業を3年続けて見通しがついた時点での結論ですので法人成りしても後悔することはないと感じています。

今後、法人化に向けて、色々と準備をしていきますので、その過程もこのブログで報告できればと思っています。

 



-事業・経営, 個人事業

Copyright© Shigepon's log , 2024 All Rights Reserved.