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個人事業ノウハウ(サイト内リンク集)
このブログでは、個人事業の開業に至るまでの様々なノウハウを紹介しています。
過去に掲載した記事も含めてご参照頂ければと思いサイト内にリンクを張っています。
よろしければ参考にしてください。
サイト内リンク(当サイト内にリンクしています)
■【個人事業】サラリーマンから独立 法人と個人どちらで起業すべき?
■【個人事業】開業に必要なものは...金?計画性?人?それとも.....
■【個人事業】利益を出すための損益計算書の仕組みを理解する!
はじめに
こんにちは。
今回は個人事業主の給料について触れたいと思います。
個人事業を始めてから半年〜1年が経過すると、「な〜んだ!こんなものなのか!」と結構あっさりと納得してしまうものなのですが、事業始める前、特にサラリーマンから転職して個人事業者となる予定の方にとっては、個人事業と聞いただけでも未知の世界のはず。
どうしてこんなことが言えるのか?と言うと、私がそうだったのです。
このブログでは、結構な頻度で個人事業についての記事を掲載しています。
それは、私の過去の経験談がこれから個人事業者を志すかたに少しでもお役に立てるのではないか?と考えてのことなのです。
私が独立したのは2014年ですが、2014年からはそれほど大きな税制改正などは行なわれていませんので、安心して記事をご参照いただけると思います。しかし、今回は税金のことには殆ど触れません。
個人事業主の給与について考えてみます。
個人事業主になって初めて貰った?給与
まず、最初に言っておきますが、個人事業主には 「給与」 と言う概念がありません。
会社員には 「月給」 というものがあります。
毎月決められた給与が皆さんの口座に振り込まれます。
では、サラリーマンから個人事業主になってから給与は誰がどのタイミングで払ってくれるのでしょうか?
それは、個人事業者自身、つまりあなたがあなたに対して払います。分かりやすく言いますと、自分で自分の給与を取るわけです。
事業で得た収入から初めて自分に対して給与を取った時は、最初は罪悪感の塊でした。別に悪いことはしていないのですが、「こんなに貰っていいのかな?」と。
開業当時(開業から半年後)は、実はかなり儲かっていて、口座の残高にもかなりの余裕がありましたが、あまり取りすぎるのも気が引けていてサラリーマン時代にもらっていた給料にちょっとだけ色を付けた程度のお金しか取っていなかったのです。
開業当初は簿記の知識も乏しかったので、税理士さんとも顧問契約を結び、税務の全ての指導を受けていました。その税理士さんからは「もっと収入取っていいですよ」と言われていたのですが、あまり取りすぎると後々何かあった時に困るかな......と、遠慮気味に収入を得ていました。
専従者給与とは?
ここではっきり言っておきますが、個人事業主には実は 「給与」 と言う概念がありません。
どう言う事かと言うと、これは税務の仕組みがそうさせています。
個人事業者の場合、毎月決められた「給与」と言う勘定科目を使って経費処理することが出来ません。そもそも、個人事業で「給与」として経費で認められるのは、「専従者」と「社員」、「パート・アルバイト」のみ、つまり自分以外の家族を含めた従業員だけです。自分に給料を出すことは経理上認められていない訳です。
いま、「専従者」と言う聞きなれない言葉が出てきましたが、専従者とは「事業主と生計を共にする家族で、あなたの個人事業を手伝う家族」のことを言います。正確には「青色事業専従者」と言います。奥様やご両親が事業者の事業を手伝ってくれる場合の報酬として「専従者給与」が経費として認められています。
しかし、注意したいのが、例えば奥様が専従者となり事業を手伝ってくれたとして奥様に対して 「専従者給与」 を払った場合、奥様は事業主の扶養から外れてしまいます。確定申告の際、扶養控除額の年間38万円が受けられなくなります。
しかし、奥様に給与を支払い経費処理することで事業者自身の所得が減りますので、事業者の所得税を減税する節税効果が期待できます。
扶養控除を受けなくても奥様にそれなりの給与を払っているほうが世帯全体の節税としてはかなりの効果になります。
個人事業者の所得についての詳しい記事は、こちらを参照ください。
じゃぁ、個人事業主は給料を取れないの??
個人事業者は 「給与」 が貰えないという事が分かったかと思いますが、では、毎月の事業主自身の収入はどうなるのでしょうか?
これは、名目上「給与」としてではなく毎月必要なだけの金額を「生活費」として事業費からもらうことになります。
「給与」 という概念が無いだけで、「生活費」という勘定科目としてもらえばいいだけの話です。
例えば、1ヶ月の事業での収入、いわゆる売上が200万あったとします。その200万を売り上げるために100万の経費を使ったとすると、残りは100万円となります。つまり、事業主の1ヶ月の収入は100万円ということになるのですが、この金額が通帳に入ったからと言って全部使ってはいけませんよ!という話は、前回の 「サラリーマンから独立 法人と個人事業どちらで起業すべき?」 を参照してください。
事業主として生活費を貰う場合には「事業主貸」という勘定科目を使用します。
これは 「事業費」 から事業主に対してお金を 「貸したよ」 という勘定科目なのですが、「貸した」からと言って返さなくても良いですからね......笑。
私も最初は「これ、返さなくちゃ無いの?」って思ったんですけど、そういう勘定科目なんだな......とご理解いただければ良いと思います。
余談ですが、事業資金が足りなくなって事業主自らが資金を補充した場合には「事業主借」という勘定科目を使用します。
というわけで、事業主が事業費から生活費を取った場合は、「事業主貸」、逆に自分の財布から資金を補充した場合は「事業主借」を使用します。
どちらの勘定科目も、個人事業主特有の勘定科目ですので、法人格の会社では一切使用しません。
しかし、個人事業主として事業を興す際は、月に最低1回は使用すると思いますので、覚えておいて損はないです。
余談
私が事業を立ち上げたばかりの頃、この勘定科目がよく理解できずに3ヶ月ほど自分の給与 いわゆる「生活費」を取る事が出来ませんでした。今となっては笑い話です。それまではサラリーマン時代に貯めたお金で退職後の4ヶ月ほど食いつないでいたのですが、だんだんと銀行の残高も少なくなってクルマの車検やら何やらと高額出費が嵩むと、どうにも耐えられなくなって事業開始から3ヶ月経過したころ初めてこの 「事業主貸」 を使いました。いや、これはただ税理士さんに「生活費を取りたいから勘定科目を教えてくれ」って聞けばいいだけの話なのですが、なんかですね.....「自分の給料を取りたいから仕訳を教えてくれ」って恥ずかしくて言い出せなかった事を覚えています。ホント今思い出しても情けなくて笑える話なんですけども。
しかし、実際には、事業開始直後の3ヶ月間は資金的余裕もなく運転資金としてプールしていたお金も底を尽きかけていて自分の生活費なんか事業費から取れるような状況ではありませんでした。それもあって税理士さんにも相談出来なかったというのが本音です。開業から半年間は、お金が入ったからと言って大きな投資や買い物は控えるべきです。私の場合は、それを今買わなければ事業として成り立たないものばかりでしたので、やむを得ずに購入して支払いまでした経緯がありましたが、ホントに開業してから資金が回るまでの3ヶ月間は地獄です。この 「資金が回る」 という表現、またの名を 「軌道に乗る」 とも言いますが、要するに投資したものが順調に回収できるようになった状態の事を言います。噂には聞いていましたがこれほどまでに資金が回らなくなるものか?と焦った記憶があります。
私の行っている事業は、売上の9割以上が売掛で、翌月または翌々月に入金になるので、毎日現金が入って来る訳ではありません。入金があるまでの間は自己資金で賄わなければならないのですが、その自己資金が底を付いてしまえば危うく廃業にならざるを得ません。
これから事業を始める方は、しっかりとした自己資金を貯めてからスタートする事をお薦めします。
まとめ
という訳で、今回は事業主の給与「生活費」について書いてみました。
自分で稼いだお金を自分に払うのは本当に不思議なものです。その反面嬉しさも一入でした。
自分の稼ぎで生活していける。
サラリーマンから独立して自分で飯を喰っていけるという事実に直面した瞬間が私にとっての独立宣言のようなものであったと思います。
個人事業はやればやっただけ自分に返って来ます。会社員時代はどんなに頑張って売上を上げても利益を残しても、会社に余裕がなければ当たり前の給与しか貰えません。私はそれがイヤでイヤで仕方ありませんでした。
「なんでこんなに利益を残しているのに1円も給料を上げてくれないんだろう?」と。
その日々の葛藤から「だったら、自分で事業をやった方が早いな!」という結論に達します。
自分でやれば愚痴なんか言っていられません、全ては自分の責任です。
でも、とてもやりがいがあります。
休みが無くても平気です!(適度に休んでますけど.....年に20日間ほど)。
それでは。