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個人事業

【個人事業】利益を出すための損益計算書の仕組みを理解する!

2017年1月27日

目次

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【個人事業】利益を出すための損益計算書の仕組みを理解する!

 

 

 

はじめに

事業をしていく上で利益がどのくらい出ているかを把握することは非常に重要です。

経営者や会社の数字に関わる幹部という立場であれば尚更です。
しかしながら、最近でも幹部でありながら損益計算書や貸借対照表を理解出来ていない人も多いのだそうです。

事業・営業をしていると、とかく売上高にばかり目を向けてしまいがちですが、いくら売上に拘っても肝心の利益が出ていなければ本末転倒です。

なぜなら私たちは利益を出すために仕事をしているからです。売上を上げるという行為は利益を出すための一つの方法であって、それ自体が最終目標ではありません。

「企業存続の意義は利潤の追求」

なのです。

 

 

損益計算書とは?

損益計算書 とは、英語で 「Profit and Loss statement」 と呼ばれることから、略して「PL(ピーエル)」とも呼ばれます。
財務諸表の一つで 貸借対照表 とセットで使用します。

この 損益計算書貸借対照表 をセットにしたものを 残高試算表 と呼びます。

経営者 または 会社幹部である以上は 残高試算表 の数値を理解して説明出来ないととても経営者とは呼べません。たとえそれが個人事業主であってもです。

上記にも記した通り、企業の存続は利潤の追求でありますので、利潤 つまりこの事業を通じてどのくらいの利益が出ているのかを把握していなければ事業をやっている意味がありません。つまり、損益計算書は利益を把握するための一つのツールである訳です。

それでは、実際に損益計算書を見ながら理解を深めましょう。

 

 

損益計算書

単位:(千)

 
  勘定科目  実績
①売上高  10,000
②材料原価(仕入原価)  3,500
③粗利益  6,500
④人件費  2,000
⑤水光熱費  300
⑥諸経費 A.通信費  10
B.電話料  5
C.減価償却費 300
D.租税公課 10
E.旅費交通費 50
F.消耗品費 300
G.地代家賃 800
H.支払利息 100
⑥諸経費 計 1,575
⑦営業利益  2,625
⑧専従者給与(個人事業主の場合) 500
⑧経常利益  2,125

 

まず、どの事業でも真っ先に指標となるのが ①売上高 です。

損益計算書の仕組みはこれから説明しますが、もしも利益が出ていなかった場合、この損益計算書を見て問題のあると思われる数値を発見し改善していかなければなりません。
数値の改善については、損益計算書の勘定科目では上に行けば行くほど改善が難しいといわれます。つまり、売上高を改善する手法が一番無難しく、次に仕入原価の改善が難しいという事になります。

 

■粗利益高を算出する

①売上高 から ②材料原価 を引けば ③粗利益高 が算出されます。

10,000 - ②3,500 = ③6,500

 

 

■諸経費を算出する

⑥の諸経費は A.通信量からH.支払利息を足した金額 ⑦1,575 となります。

 

 

営業利益を算出する

③粗利益高 から ④人件費 ⑤水光熱費 ⑥諸経費 を引きます。

6,500  -  ④2,000  -  ⑤300  -  ⑥1,575  =  ⑦2,625......これが営業利益です

 

実際はもっと多くの勘定科目が発生しますが、ここでは分かりやすくするために簡略化しています。
計算書を見て分かると思いますが、構造は至って簡単です。
売上高からそれぞれの項目を下に向けて引き算するだけなのです。さほど難しい計算ではないのです。

個人事業主の場合、専従者給与 つまり家族が事業を手伝ってくれたことにたいする報酬として出す給与額を営業利益から差し引き、最終的に経常利益高を出します。会計ソフトで有名が弥生会計などの損益計算書はそのような書式になっています。つまり、経常利益は、全ての経費を差し引いて一番最後に残った金額となります。

 

経常利益を算出する

⑦2,625 - ⑧500 = 2,125......これが経常利益です

 

 

では、損益計算書の構造が分かったところで、それぞれの数値を導き出す為の公式を記しておきます。

 

売上高 客数 × 客単価
仕入原価 (前期末在庫 + 当期仕入れ) - 当期末在庫
粗利益高 売上高 - 材料原価
営業利益高 粗利益高 ー 諸経費

 

 

 

 

営業利益率の目安

業種によっても損益計算書の概念が多少なりとも違いが出てきます。

先ほどの損益計算書には営業利益・専従者給与のすぐ下に経常利益がありますが、実際は経常利益の前に税金を引く計算書も存在します。この損益計算書は、あくまでも管理会計上(現場・営業所・店舗単位)での損益計算書です。

営業利益高は、粗利益高から(人件費、水光熱費、諸経費)を引いた額で算出されます。小売業や飲食店など店舗を構えて営業するような業種の場合、営業利益は純粋にそのお店の力として評価されます。

営業利益高を売上高で割ると営業利益率が出ます。つまり、月間の営業利益から月間を売上高を割ると売上高に対する利益の割合が算出されます。

先程の損益計算書から数字を拝借すると、営業利益高が4,225(千)、売上高が10,000(千)ですので計算式は下記の通りとなります。

営業利益率を求める

⑦2,625 ÷ 10,000 ×100(%) =26.25(%)

これが実数で出ている業種は非常に優秀です。26%の営業利益率なんて優良企業もいいところですね。

 

 

最終目標は利益を出すこと....これが個人事業主の収入になる

冒頭の説明の通り、事業を行っていく上で一番重要なのが経常利益を出すことなのです。

言い換えれば経常利益を出すために私たちは仕事をしているようなものです。
ましてや個人事業主の場合、この経常利益の中から自分の収入を得ます。逆に利益が出なければ自分の給料は出ません。
また、国人健康保険税や国民年金、所得税、市県民税、自宅が持ち家の場合は自宅の固定資産税などは事業経費になりませんのでこの利益から払うことになります。

利益を残せないと支払いや納税が滞ってしまいます。

会社員の場合、「社長から利益を出せ出せ!」と言われる所以はここなのです。
でも、ただ「利益をもっと出せ!」という経営者は仕事をしていません。経営者の最大の仕事は、利益を出すために部下にその方法論を植え付け、具体的行動を指示する事だと私は考えます。もしも会社員の方がこのエントリーをご覧になっていたとして、社長から「利益を出せ!」と言われたら、「利益の出し方を具体的に教えてください!」って言ってみて下さい.....笑。でも、私だったら、そんな経営者の下では正直働きたくないですね。だって仕事してないですもん。

利益を蓄える事で事業用の通帳には残高が溜まって行きます。これは利益がでていて会社の資金の余裕が出てきている証拠です。しかし、通帳の残高を上げるということ、つまり、現金を留保するというのは本当に大変です。事業は税金との戦いです。利益が出ている場合、法人の場合は法人税、個人事業者の場合は個人事業税、所得税を払うことになります。赤字の場合は免除されます。
中には経費をわざと上げて赤字決算をして税金逃れをする企業もありますが、株式会社の場合は赤字体質が続くと株主総会で株主から叩かれて無能な経営者と判断され、最悪の場合経営者を解任されてしまいます。

個人事業主の場合は解任はされませんので安心して下さい.......笑。

実際に利益を出す方法は次章で説明します。

 

利益を出すには

経常利益を大きく出したいと思ったら、各数値を変化・改善して行かなければなりません。
この現状の数値を変化させていく事柄を マネージメント と呼びます。

日本では、店の責任者を店長と呼びますが、欧米諸国はマネージャーという呼び方をします。
マネージャーとは、その名の通り監督・支配人・部門責任者などを総称しての呼び名なのですが、組織においては数値を管理する管理者がマネージャーを名乗るケースが多いですね。それだけ、企業や事業所にとってのマネージメントは経常利益を出すためには必要不可欠なものということがわかります。

では、どうやって利益を出すのか?

方法はいくつかあります。

  1. 売上高を上げる
  2. 仕入原価を下げる
  3. 人件費を下げる
  4. 水光熱費を抑える
  5. 諸経費を抑える

1の売上高を上げる方法

方法は大きく分けて二つあります。

  1. 顧客数を増やす
  2. 客単価を上げる

売上高は 客数×客単価 で導き出されることからも分かる通り、客数か客単価をあげれば自ずと売上高を上げることができます。

その事からも分かる通り、客数が前月と一緒であっても客単価が下がってしまえば売上高は下がってしまいます。

客数、客単価どちらかをあげれば売上高は上がるという話をしましたが、どの企業も事業主もこれをするのに必死なのは言うまでもありません。広告・DM、メール会員、ネット広告、Webページ、新聞広告など、顧客獲得のために広告宣伝費を使って集客する手法も多岐に渡りますが、そのタイミングでどの手法で広告宣伝をするのかと言うのが、その企業や事業の戦略となります。ただ、広告宣伝の中には、費用対効果の見通しが付かないものも多いのが現状です。

例えば、チラシを10,000枚巻いて集客しようとします。
実際に翌日、普段よりも売上が20%上がったとしても、その20%上がった売上は全てチラシの効果であると言う確証は無いのです。その効果を測定するために、チラシの中にクーポン券を入れてその回収枚数で費用対効果を図ろうと言う手法もありますが、印刷代と回収したクーポン券の集計などに人件費がかかるというデメリットもあります。

いずれにしても、客数・客単価を上げると言う手法そのものはマーケティングの話になってしまうのでここでの結論付けは出来ませんが、このような手法があるということを覚えておいて頂ければと思います。

 

2の仕入原価を下げる方法

仕入原価を下げれば必然的に粗利益高を確保できるので、結果経常利益を上げるという点においてはかなり効果的なマネージメントです。

これには、仕入先との交渉で仕入れ値を下げたり、または安い仕入先に乗り換えるという方法もあります。仕入先を変えるというもの、古くからの取引のある取引先だった場合は苦渋の決断になるかも知れませんが、どうにも利益の確保が難しい場合は決行する必要があるかも知れません。

飲食店やホテルなどの場合、食材を仕入れる仕入原価がこれに相当します。
特に食材は気候の変化や輸入食材においては、世界情勢の変化等で値動きの幅が非常に多い原材料になります。ある特定の食材の高騰によりメニューの変更を余儀なくされることも少なくありません。

それだけ、原価というのは非常にシビアに管理しなければならない勘定科目でもあります。

 

3の人件費を下げる方法

人件費を下げる......これだけは私は絶対におすすめ出来ません。

人件費を下げる = 従業員満足度が下がる

いや、人件費を下げるだけならまだマシかも知れませんが、最悪の場合 リストラ という方法もあります。

倒産した会社が民事再生法により会社を立て直そうとした場合、一番最初にするのが人件費削減のためにリストラして人員整理を決行するという手法。ニュースで見ていてもいたたまれません。ここ最近ではJALがやりましたね。

でも、いざ会社を立て直そうとした時に人員不足だったり、優秀な人材までをもリストラしてしまったら再生どころの騒ぎではありません。

人材は人財であって経営者にとっても従業員は財産でなければなりません。

人財についてはこちらで解説していますのでご一読ください。

 

水光熱費・諸経費を下げる

これはその言葉の通り、下げるだけです。

水光熱費は年間でも季節によっても高低差があります。
特にエアコンなどで暖をを取っている場合、夏場のエアコンよりも冬場のエアコンの方が消費電力は高くなりがちです。水道代は地方によってもバラつきがありますが、これは従業員全員で意識を一つにして節水に励むしか方法はありません。

諸経費に関しては、消耗品費を下げる、不用な出張を避ける、賃貸物件の場合は大家さんに家賃交渉をするなど方法はいくらでもあります。ムリ・ムラ・ムダ のうちの ムラ と ムダ を排除していけば水光熱費、諸経費は次第に下がっていきます。

いずれにしても、全ての問題点を一度に節制しようとすると必ずどこかにしわ寄せが来てしまいます。
つまり、ムラ ムダ を排除しようとしたがためにムリが掛かってしまうのです。

ムリ・ムラ・ムダ の3要素のバランスを考慮した上でマネージメントしていくことが何よりの経費削減のちかみちとなります。

 

 

利益が出せない経営者

何度も言いますが、実際に「利益を出せ!出せ!」という経営者は経営者ではありません。経営者は利益の出し方を知っていないと部下に利益を出すために具体的に何にどう取り組めばいいのかが分かりません。損益計算書を理解していなければ、利益の出し方を知っている筈もありません。
顧問契約を結んでいる会計事務所の税理士さんから 「利益が出ていないので、もうちょっと経費を抑えて利益を出す努力をしましょう」 と言われても、経営者自身が損益計算書を理解していないと部下に明確な指示が出せず、いつまでたっても利益体質の経営にはなりません。これは経営者の責任です。つまり、利益を出すのは経営者の一番の腕の見せどころであり一番の使命なのです。
利益が出ていなかった場合、経営者が社員や従業員に利益を出すための具体的な方針を伝えて、現場で数値の改善に向けて努力して一つ一つ問題を改善していけば、次第に利益は出ます。

しかし、一番強いと言われるのは、経営者の下に経営者と同じ理念と考えかたを持つ部下がいて、経営者に変わって事業に対する数値の問題点を発見して改善に取り組む企業・事業所です。世間ではこれを右腕と言いますが、この右腕の人材は経営者自身が育てた人材ならいいのですが、経営者が育てるということは経営者が損益を理解できていればいいのですけどね。

いずれにせよ、利益を出すのが喫緊の課題であるならば、これは全社で取り組まなければならない事です。

 

 

まとめ

今回は損益計算書についての説明をさせて頂きました。

計算自体は上から順に引き算すれば経常利益が導き出せるということは理解頂けたと思います。
利益を追求するには、月次損益の数値を一つ一つ分析して問題点を把握して改善に向けた取り組みをするだけです。経営者、幹部は、その分析した結果を基に改善策を検討します。

売上高を上げるのは経営者と会社幹部の使命であり、水光熱費、諸経費は従業員によって削減するという2つに分化して取り組むと理想的だと個人的には思います。

売上が上がって経費が下がれば、利益は数倍に跳ね上がります。

損益計算書の読み方を理解して、ムリ・ムラ・ムダを発見し順番に問題を発見し改善するのが経営者・マネージャーの仕事です。

先程言ったとり、全てを同時にやろうとすると事業に直接シワ寄せがいってしまうので、優先順位を付けて確実に一つひとつ実行していくことが大切だとおもいます。

損益について理解を深めたなら、是非今日からでも実践してみて下さい。

 

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